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ワンピース〜ただ側で〜
おまけ10話『背中』
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、俺のもう一つの目標。
 思い出す。
 師匠のもとから旅立つ時の約束。
 強くなるという、約束。

 ――俺はきっと強くなった。

 当たり前だ。

 ――今の俺は強い。

 自信はある。

 ――けど。

 あの時思い描いていた強さに、俺はたどり着けただろうか。
 師匠のような強くてかっこいい背中に、俺は追いつけただろうか。

「……ま……だ」

 まだ俺は終わっちゃいけない。

 ――まだ。

 白ひげさんは師匠の大恩人だ。もちろん俺だって世話になった。
 白ひげさんはエースの父親だ。俺にだってやさしくしてくれた。
 白ひげさんは俺にとっても大事な人だ。

 ――まだだ。

 白ひげさんがこんな戦場で命をおわらせちゃあダメだ。
 大海賊らしいといえば、らしいのかもしれない。けどそんなもん知るか。大海賊だろうが知ったこっちゃない。
 一味の父親として、家族に看取られないとダメだ。
 師匠だってきっと、ちゃんと最期を看取りたいはずだ

 ――まだ俺は戦える。

 なのに。

「……っ?」

 俺は今立っているか?
 倒れているのか? 
 それすらもわからない。
 あれだけ痛かったはずの感覚がない。
 体の力が薄れていく。

 まだだ、まだ駄目だ。
 まだ戦える。
 まだ追える。

 まだ――

『――師匠!』

 ねぇ師匠。

『ん』

 俺は師匠に憧れてここまで来ました。

『本当に、今までありがとうございました! バカな俺ですが、お世話になったこと絶対に忘れません!』

 少しは師匠の背中を守れましたか?

『ハント、次に会うときは』
『はい! もっと、もっと強くなってます!』

 少しは師匠にとって誇れる弟子になれましたか?

『うむ、行って来い!』

 少しは師匠にとって息子らしいことをできましたか?

『行ってきます!』

 師匠の強さに追いつけましたか?
 ……もちろん答えなんかもらえない。
 そんなことわかってる。 
 けど、だからこそ足掻くんだ。
 足掻かないとい追いつけないから。
 足掻かないとあの人の弟子でいられないから。

 なのに――

「親父!」

 ――ふと、音が耳元で響いていた。 

「いいんだ、俺ぁもう助からねぇ。まだ少し頼りねぇが次の力も育ちつつある……なら、俺が締めくくらなきゃ意味がねぇじゃねぇかぁ」
「けどハントは親父を――」
「――お前が死なずにすんだ。俺ぁもともとここで死ぬつもりだった」
「っ!?」
「それで十分じゃねぇかぁ」

 聞こえてくる。
 いつの間にか俺は誰かに背負われている。
 誰の会話だろう。
 会話の意味もわ
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