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ワンピース〜ただ側で〜
おまけ10話『背中』
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「容赦ねぇな! ……あるわけねぇか!」

 怪我はなくとも相手は世界最強の男。それの標的にされては肝が冷えるというものだ。焦った様子で吐き出した黒ひげの言葉を切って捨てるように白ひげが声を張り上げる。

「……てめぇだけは息子とは呼べねぇな! ティーチ! 俺の船のたった一つの鉄のルールを破り、お前は仲間を殺した! ……マルコ、エース! 手ぇ出すんじゃねぇぞ!」

 目の前に現れた黒ひげに、今にも襲い掛かろうとしていたマルコとエースの気配を察知した白ひげが先に言葉をかけて二人を制止する。「けど、おやじ!」と尚も文句を言おうとするエースを遮って「4番隊隊長のサッチの無念! このバカの命をとって俺がケジメをつける!」

 白ひげの言葉が、白ひげ海賊のすべてだ。
 おやじの言うことに、エースは悔しげに肩を震わせるも今にも襲い掛かってくる海兵たちの相手を再開し、白ひげの背を守る。
 白ひげと黒ひげ。
 同じくヒゲを冠する男たちの戦いが始まった。

「闇穴道!」

 黒ひげと白ひげを含んだ一帯の地に闇が走り、その闇が地面にあるすべて――瓦礫しかり、白ひげしかり――を引き摺り込んでいく。

「サッチが死んで! エースも今回の麦わらの騒動がなけりゃあ助けられなかったんじゃねぇか!? オヤジ! 俺はあんたを心より尊敬し……憧れてたが……アンタは老いた! 処刑されゆく部下ひとり自力で救えねぇほどにな!」
「……」

 黒ひげの挑発ともとれるような言葉に、白ひげは右手に力をためて、能力発動の溜めの動作をもって答える。だが、その所作だけで万人を震え上がらせてきたその動きを見て、黒ひげは怯むどころか自信に溢れた表情で「おっとっと、無駄だぜ!」と手をかざす。

「おれの前では能力はすべて無駄!」

 白ひげが溜めを解放させて、能力を発動しようと腕を振るう。
 だが――

「闇水!」

 ――確かに発動しない。

 これが全ての能力を無へと引き摺り込む黒ひげの悪魔の実の能力だ。

「ゼハハハ! どうだ! これで地震はもう起こせね……お、ゴワァア!」

 笑みを浮かべたその瞬間、黒ひげの肩には白ひげの薙刀の刃が振り下ろされていた。思わず悲鳴をあげて地面に倒れこんだ黒ひげを見下ろした白ひげが「過信……軽率……お前の弱点だ」と言い聞かせるように呟き、そのまま黒ひげの顎を掴む。
「い……え!? オイやべろ!」

 これから何をされるか、それを理解したらしく慌てて「やべろぉ! おやでぃ! おれ゛は息子だど本気で殺すン……!?」と叫ぶも、そんな言葉を今更白ひげが聞くわけがない。

「ああああ!」

 黒ひげの声とともに、白ひげの能力が彼の顔面でさく裂した。

「あ……ア……この怪物がぁ! 死にぞこないの癖に
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