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ワンピース〜ただ側で〜
おまけ10話『背中』
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 ハントが黒ひげの一撃を受けた時、逃亡をはかっていた白ひげ一味もその場からの脱出に苦戦していた。

「くそ! 七武海に大将! 簡単には逃げられんか!」

 ジンベエが悪態をつく。

 体力を使い果たし、ハントへとバトンを渡したことで気が抜けたのか気を失っているかのように眠っているルフィの状態も、あまり芳しいとは言えない状態だ。

 海へ逃げようにも青雉により凍らされていて、できない。
 マルコやジョズは白ひげの言葉を忠実に守り、撤退をはかる白ひげ一味の殿をつとめて、未だに迫ってくるたくさんの海兵やパシフィスタ、気まぐれに攻撃してくる七武海たちの相手で手一杯。後ろから迫ってくる黄猿をほかの隊長たちが足止めをするも、大して意味をなさず、今ジンベエは確実にピンチに陥っていた。

「麦わらのルフィを渡しなさいよ〜、ジンベエ〜」

 黄猿の言葉に断固として首を振り、ジンベエがルフィを守るように彼から背を向けるが、その足を黄猿の光線が撃ち抜いてその足を止める。今にもとどめを刺されてしまう、というときに「砂嵐!」

 海軍に敵意を現した元七武海のクロコダイルの一撃でルフィもろともジンベエが空に飛ばされ、さらにそれを「どわー、なんか飛んできた!」と空中にいた道化のバギーがそれを受け止め、さらには「麦わら屋をこっちへ乗せろ!」とルフィと並んでルーキー海賊として世を騒がせているトラファルガー・ローが海の中から現れてルフィとジンベエの身柄を引き受けようとその姿を現した。
 それを許すまいと、またさらに海軍の攻撃が激化する。
 戦争は入り乱れている。

 撤退を図る、白ひげ海賊も。
 ハントたち、島のど真ん中での戦いも。

 海軍と海賊。
 両者の目的はいまだに果たされていないのだから。

 


「ぜはははは! もう動けねぇようだな! 能力者でもねぇお前がここまで活躍するとは思ってもなかったが、それもここまで! 俺が引導を渡してやる!」

 黒ひげがどこからともなく現れていた。
 インペルダウンの看守長、シリュウを筆頭にインペルダウンの悪名高い囚人たちが黒ひげ一味として登場したことを、煙が晴れたあたりから戦場に降りていたセンゴクが部下からの報告を受けて、しかめっ面のままで彼らを睨み付ける。

 シリュウとセンゴクが短いやりとりをする中で、それを背景に黒ひげの拳が足元でピクリとも動かないハントへと振り下ろされようとして――

「――ティーーチ〜〜〜〜!」
「どぅわ!」

 ――黒ひげが吹き飛ばされた。

 白ひげのグラグラの実の能力をその身にもろに受けた結果だ。とはいえ黒ひげのヤミヤミの実の能力故か、はたまた白ひげの体力が底をつきかけていることが原因か、黒ひげは怪我らしい怪我もなくすぐに立ち上がった。

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