おまけ9話『壁に潜んだ黒い影』
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「くそ、どうなってる!」
ありとあらゆるものを飲み込むほどの大きな爆炎が世界に広がり、その猛威から己の身と周囲の部下数人を守ることに成功していた海軍元帥センゴクが言葉を吐き出した。あまりにも規模の大きな炎だったため、世界はまだ煙に覆われており、視界が開けていない。
「被害状況、わかるか!?」
まずは状況を掴まなければどうしようもない。
――とはいえ、先ほどの大爆発……情報網が死んでしまってもおかしくはないが。
内心で言葉を飲み込み、あまり期待をせずに声を張り上げたセンゴクだったが、幸いなことに海軍の情報網はまだ生きているらしく「報告します!」という言葉がすぐさま返ってきた。
「映像電々虫……すべて使用不能! 中将以下の海兵……既に判明しているだけでも半数以上は戦闘不能の模様!」
「っ」
くそ、という悪態をつきそうになった自分を、センゴクはぎりぎりで自制した。
島を飲み込むほどの規模となった大爆炎。
既に判明しているだけで半数以上の犠牲が出たということは正確な犠牲者数を数えあげれば、その数は3分の2近くにも昇ることになっても……いや、もっと上でもおかしくない。その上、電伝虫がすべて使用不能に陥ったともなればエース処刑のシーンを民衆に公開できないことになる。
今回のすべてはエースの処刑のために始まったことだ。
エース処刑のために、戦争が始まった。
エース処刑のために、インペルダウンから多数の脱獄者が現れた。
全てはエース処刑のため。
海軍の威容を民衆に知らせ、民衆がより安心して生活を送るため。
海軍の威容を海賊に知らせ、少しでも彼らに海軍の恐怖を覚えさせるため。
にもかかわらず、その全てが崩れ去ろうとしていた。
モンキー・D・ルフィの登場に始まり、決定打は戦争中に成長した海坊主ハント。
ルーキーの二人を見誤ったことが最大の要因だ。
――失態だっ!
センゴクの脳裏に浮かぶ、敗北の言葉。
先ほどの爆炎で、視界は未だに煙におおわれている。もしも今、殿をつとめていた白ひげ、ハント、エースに逃走されたら捕まえようがない。
今から二人の大将、青雉と黄猿に指示を出そうにも現在の彼らの状況がつかめないし、何よりも連絡手段がない。ほかの主力、たとえば王下七武海はもともと、こんな状況で頼りに出来つような人間たちではない。
――なら俺が。
センゴク自ら出る。その可能性を彼は考えて、すぐさま首を横に振って考え直す。
彼は元帥で、海兵たちに様々な指示を下すことも彼に求められる仕事の一つだ。海軍が組織として瓦解寸前の今、元帥たるセンゴクまでもが前線に出てしまえばもう海軍にまとまりがなくなってしまい、それこそ容易に白ひげた
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