おまけ9話『壁に潜んだ黒い影』
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ちを逃がすことになりかねない。
――打つ手なしか。
「っ」
センゴクが悔しげに肩を震わせた時、いつの間にそこにいたのか。横から声が。
「なら、わしが出るしかなかろう」
まるでセンゴクの胸の内をすべて理解しているかのような口ぶりの、苦楽を共にしてきた古くからの仲間。海軍の英雄とも称されるその老兵に、センゴクがいぶかしげに顔を上げた。
「できるのか?」
既に彼は家族の情によってルフィを殴ることに失敗している。
今前線に出てもまた同じことになりかねないというセンゴクの問いに、ガープはこともなげに、そしてどこか彼らしい獰猛な顔で頷いた。
「なに、ワシが相手をするのは海坊主のほうじゃ」
海坊主ハントが赤犬を打倒したことは、赤犬にも少なからず慢心があったことも要因のうちの一つ。しかし、それを差し引いても、海坊主がこの戦場で海軍最高戦力の一人と称される男に勝利したことは事実。
思いがけないほどの成長を見せたことは事実だ。
それがガープの心を躍らせている。
もちろん彼の性根には海軍としての正義が存在していることだろう。
だが、いや、だからこそ。
ガープは今は海坊主を仕留める必要があると考えている。
海坊主ハントと戦う必要があると、ハントの力量を見極めなければならないと、この場で倒してしまわなければならないと考えている。
「……」
そして、そんなガープの考えに、センゴクも同意見だった。考えるように黙り込んで数秒の後「よし、まかせたぞ、ガープ」
「新時代の波が今の時代に決着をつけるかどうか……わしが直接見てくるわい」
意味ありげな言葉を残し、ガープが煙の中へとその姿を紛らせた。
「……」
それを、センゴクは何も言わずに見つめて、すぐさま海兵たちの統制を取り戻すためにその場から歩き出す。
「パシフィスタはどうなった! 大将、七武海の現在位置! それに正確な被害状況はどうなっている!」
声を張り上げ、すでにその目は冷静な、知将とうたわれる彼そのものだ。
ハントとエースの力を合わせた技により、海軍という組織はすでに瓦解寸前。
けれど、まだ海軍の骨子が残っている。
彼らの掲げる絶対正義の名のもとに、まだ戦争は終わらない。いや、終わらせるわけにはいかない。
「……」
――マジで?
漏れそうになった言葉を、ハントはぎりぎりで飲み込んだ。
目の前すら見えないほどの煙に、時折海から流れ込んでくる熱風がハントの頬をなでる。『漁火 炎神』というエースの炎帝に、ハントの魚真柔術による空気操作によって起こしたバックドラフト現象。
ハントも半端な威力ではないと覚悟していたが、これは完全に彼の
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