暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
おまけ8話『新たなる火が灯る日』
[6/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 全ての思いを乗せて、ハントは叫ぶ。

「このっばかひげがぁっ!」

 海賊として、エースたちを逃すために白ひげが命を張っている。ここが白ひげという人にとっての最後の舞台として、すでに覚悟を決めていることを、ハントはわかっている。
 それは船長としても、父親としても、きっと白ひげからしてみれば当然のことで、命を張るにふさわしいことなのだろうということも、もちろんハントはわかっている。

 これはハントの単なるわがままだ。
 それを、ハントも理解はしている。
 白ひげには白ひげの生き方がある。
 彼らという海賊がどう生きても、それはハントが文句を言う筋合いなどない。
 けれど、ハントには浮かぶのだ。

『俺がオヤジを海賊王にする』

 エースが言っていた。
 この時の彼の表情と言葉は確かに海賊のそれで、けれど家族のそれだった。
 白ひげはハントの父親ではない、それでも確かに友人の父親だ。
 それはもはやハントにとっては他人事ではない。
 自分の境遇を勝手に重ねて、白ひげ覚悟を勝手に否定して。

 ハントは思う。

 白ひげを亡くして、エースたち白ひげ海賊団が何を思うか、どう思うか。
 それを思うからこそ、ハントは叫ばずにはいられなかった。伝えずにはいられなかった。
 だから。
 ハントは声を大にして、殿をつとめようと海軍をにらみつけている白ひげの前に立つ。 

「俺が殿だっ! 白ひげさん……いや、白ひげ! あんたこそさっさと行け!」
「……」

 白ひげは大海賊で、ハントはいわゆるルーキー海賊。
 そのランクの差は海のように広く、深いほどの隔たりがある。
 にも関わらずまるで同等かのように白ひげの意見に反抗して、白ひげを呼び捨てにして、あまつさえ命令までした。
 そのことにわずかだが、その場の空気が止まる。
 そんな一瞬の隙間に入り込んだのは海軍たちの声でもなく、白ひげの声でもなく――

「ハント! 俺はとめねぇ! 絶対生きて帰って来い、船長命令だ!」

 ――ルフィその人。

「当たり前だ!」

 ハントとルフィの、見えない絆と固い約束。
 それが、場の緊張を解いた。

「白ひげを討ちとれぇ!」
「海坊主もだ!」
「モンキー・D・ルフィとポートガス・D・エースを逃がすなっ!」

 ハントの決意を、海軍たちが呑み込まんと襲い掛かる。




 ハントとルフィの会話でもって、動き始めたのはもちろん海軍だけではない。
 海軍の、おそらくは最優先の目標として標的とされているエースたちも当然ながら動き始めている。

「っハントの奴! 勝手なことをしおって!」

 歯噛みをしつつも、さすがにエースとルフィの二人から目を離すわけにもいかず、ジンベエが悔
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ