暁 〜小説投稿サイト〜
小学時代を思い出そう!
「五月人形」

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 息子が生まれ、初めての5月の端午の節句に向け、デパートに五月人形を買いに行った時の話だ。ズラリと並ぶ、兜の山。良く見ると単純に兜だけ飾りから、弓や刀付、そして鎧兜のセットなど、色んなのがあった。そして、見ているうちに、自分の兜の事を思い出したのであった。

◇◇◇

 兜は、僕が生まれてから初めての端午の節句の時に買った物だそうだ。だから、赤ちゃんの時の写真を見ると背景に、兜が飾ってある写真がある。
 そうそう兜は、3歳の時から飾り付けを手伝った記憶がある。5月5日が近づくと、保育園では折り紙や新聞紙で兜を作ったりしたなあ。
 5日の何日か前に、親父が兜の用意をした。押し入れから出された箱。開けると、漆塗りの木箱があった。その木箱を開けると、中から兜が出て来たのだった。
 兜を出すと、ヘルメットみたいになっており、そこに、(つの)のような物、「くわがた」を差し込んだ。そして赤い毛繊(もうせん)を敷き、木箱の上に兜をおいた。
 最後に、左に弓と破魔矢のセットを置き、右に刀を飾った。金屏風もあったなあ。ピカピカに光った兜飾りには、なんだか特別な感じがして、なぜだかワクワクしたのだった。
 そうそう、端午の節句と言えば鯉のぼりだが、我が家には立てる所がなかった。でも、親父はなんとかしようと思ったようで、小学生に上がるまでは市場で買って来た、お菓子付きの小さな鯉のぼりを、2階の窓の柵にくくり付けてくれていたのだった。

◇◇◇

 僕の爺ちゃんが死んだ時に、家の中を片付けていると、押し入れから僕の兜が出て来た。兜は、20年以上しまわれており、箱を開けると、あんなに輝いていたのが嘘のように錆びにまみれていた。弓もボロボロ、刀もボロボロだった。とても、飾れる代物ではなくなっていた。
 自分の子どもに見せてあげたいと思っていたが、あまりの破損に結局は処分してしまった。そんな思いから今回、自分の息子にはガラスケース入りの兜飾りを購入したのだった。

おしまい

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