暁 〜小説投稿サイト〜
小学時代を思い出そう!
「親父と潮干狩り」

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 1年生の時、親父の会社でみんなで集まって、潮干狩りに出かけたのを思い出した。朝早く駅前で、チャーターしたバスに乗り込んだ。親父たちはバスに乗り込むなり、すぐにビールを飲んだ。バスの中は、あっという間に宴会場になった。
 海につくと潮は引いていた。さっそく熊手みたいなやつでシジミ貝をとった。昼までには、かなりの量をとった。とったシジミは、ビニル袋に入れて、きれいな海水を入れた。これで、家に着く頃には、貝が砂を吐いているようになるのだ。
 潮も満ちてきて、海岸で昼ご飯となった。我が家は婆ちゃんが作ってくれた、おにぎりをほおばった。他の家族も一緒に食べていて、おかずをお裾分けしてもらった。親父はいうと、ご飯をつまんだかと思うと、またまたビールを飲んでいた。
 帰りのバスの中も、当然、宴会だ。僕は、バスの真ん中の席にいて、今日、知り合った友達と、くっちゃべっていた。親父はバスの後ろの席にいて、ビール以外にもウィスキー、日本酒と飲んでいた。親父は、他の家族の子どもと冗談を言っては、馬鹿笑いをしていた。
 帰り道、バスは高速に乗り走った。しかし、しばらくするとバスは……

キィー!!

 と、急停止した!そして、バスは路肩に止まった。
 なにやら運転手が怒鳴っていた。すぐさま今回の潮干狩りの幹事が呼ばれた。どうやら誰かが、後ろの非常口を開けてしまったのだ。運転手はバスを降りると、非常口を外から閉め直した。幹事の人は平謝りしていた。車内はシーンとしていた。すると陽気な声で……

「ごめんなさーい!」

 と、親父が後ろの座席から頭をかいてやってきた。

「なんか、開けてみたくなっちゃって!済みません!!」

 と、平謝りした。運転手に謝って戻って来る親父に……

「どうしたの?」

 と、僕が聞くと、小さな声で…

「子どもが、開けたらどうなるかなあ?って言うから、開けちゃったんだよ!」

 と、親父は言った。席につくと、子どもの家族が親父に謝っていた。その子どもが、うっかり非常口を開けてしまったのを、かばったのか?それとも子どもにかこつけて、親父が本当に開けたくなって開けてしまったのか?どちらかわからないが、どちらにしても親父らしいなあと思った出来事だった。

おしまい




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