短編51「愛すべき退屈な日常」
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「密かに、レスポールにパンツ履かせてるに違いない!」
どうしてそんな発想になる!?
「だいたいパンツなんて持ってないし……」
「じゃあオレのあげようか?」
なんでそうなる!?なんか今日はやけに絡むなあ。と、思っていたら……
「なあ、○○ってどう思う?」
と、友達が言った。
「○○?ああ、髪の長い」
「お前、髪長いの好きなんだ」
確かに髪は長い方が好きだけど……
「短くて悪かったな!」
なんでキレてる〜!?僕、聞かれた事に答えただけだろ〜。
「○○は可愛いよね?」
「まあな」
「○○はギターやってる奴が好きなんだって」
「あっそ」
「○○は……」
それからは、○○って女の話ばかりだった。だから……
「あのさあ。僕は○○の事は良く知らないし!!」
と、つい怒鳴ってしまった。その瞬間、友達はビクッとして、見る見るうちに、目にいっぱいの涙を浮かべていた。
「あっ!こっち見るなっ。こっ、これは違うんだから」
ポロポロポロポロと涙が落ちた。友達はそのまま膝をかかえ、顔を見せないように、うつむいた。そのうち……
スンスン
と、鼻をすする音だけが部屋に響いた。それからどれだけ時間が経っただろうか?西日に部屋が照らされてオレンジ色になった頃。
「ごべんで」
鼻づまりの声で友達が言った。
「ごべんで。ほんどうに、ごべん」
うつむいたまま、膝を思い切り抱えたまま、友達は言った。
「僕さあ。○○は第一、好きでもなんでもないからな」
僕はそう言うのが精一杯だった。そして付け加えた。
「あと僕、……髪短いのも好きだから。じゃあ今日は帰るな」
僕はそう言うと、友達の部屋を出た。帰り際、駐車場のカタナを見た。左のステップと左のミラーが折れていた。そしてカウルが少し傷ついていた。なんだか今日はカタナが悲しく見えた。次の日……
「そういや、お前ら付き合ってんの?」
男友達の一人に聞かれた。良く聞かれる言葉。
「いや、付き合ってはないと思うよ」
「なんだよ〜それ〜!?」
男友達は笑っていた。僕と友達は、同じクラスになってから知り合った。
『ねえ、今日。楽器屋行かない?』
そう言ったのが友達だった。その日、二人で楽器屋に行った。
『雑誌見てたからさあ。休み時間』
友達は、僕と同じ音楽雑誌を読んでいたのが分かった。
『オレ、オーバードライブ好きなんだよなあ』
という友達の言葉に……
『僕はクリアトーンで、コンプレッサーかな』
と、話していたのを覚えている。そして楽器屋ではエフェクターにギターをつ
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