誕生、前代未聞の冒険者
第四話
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だよ。一時は騒然としたけど。
「まあ、良いか。毎度!」
人の良い笑顔でリリアーナお姉さんは笑うのだった。
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買い物のサービスにと、リリアーナお姉さんは武器に召還、送還の魔法を着けてくれた。これで念じれば自在に武器を出し入れ可能との事だ。
これでダンジョン探索も更に捗る、と気分を高揚させていると、リリアーナお姉さんが店から出てきて、"open"の札を"close"に引っくり返した。まだ日も高いのに、随分早い閉店である。買い物でもするのだろうか?
「さ、行こうかヨーン君!」
「何処へ?」
「ダンジョンに決まってるじゃない。武器を買ったら、その日即座に試し切りが、買う者の礼儀ってやつよ!」
そんな礼儀知らない。しかも、同行前提で話されても、僕に行く気はない。買いに来る前にダンジョンに入ってきたのだ、そう何度も繰り返し入りたくはない。
「軟弱!軟弱な考えだよヨーン君!そんな考えは捨てなさい!真の冒険者は、ロマンに生き、ロマンに死す!例え他人が止めようと、其処に目指すものが有る限り、挑まなきゃいけないものなんだよ!」
「いやロマンとかどうでも…」
「いーからいーから!お姉さんに任せなさい!」
「ええー…。」
僕の襟首をガッチリ捕らえ、お姉さんは意気揚々とダンジョンに向かう。
…なんでダンジョンに行きたがるんだ?このお姉さんは。
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「…ヨーンさん、またダンジョン探索ですか?」
受付嬢が、疲れた雰囲気でやって来た僕を見て、目を丸くしている。大半の冒険者は、一日何度か探索と脱出を繰り返す。換金して体勢を整え、再び探索のサイクルだ。
例外的に、1度で一気に深い層まで下り、一日一回しか探索しない者や、複数日で隅々まで探索する者もいる。
言わずもがな前者は僕、後者は僕が普段挑まない『塔』の探索者だ。
お互い、どちらかが探索中に戻ってくるため、その正体は分からない。冒険者達から聞いた話では、凄く可愛い『女の子』らしい。どうでも良いが。
…話が逸れた。つまり、僕は一回しか探索しない人なので、二回目を訪れた僕に受付嬢は驚いているのだ。脇でニコニコしているリリアーナお姉さんの存在も、驚きに含まれているかもしれないが。
「新顔の力試しにね。明日でも良かったけど。」
「ヨーン君、善は急げ、後回しにして良いことは何一つ無いんだよ?」
「…らしいのでちょっと行ってきます。」
ニコニコ顔のお姉さんに勝てる気がしない。店に行ってからここまでで、すっかり苦手意識がついたかもしれない。
『あのヨーンをあっさりと…。』
『「笑顔のリリアーナ」は健在か…!』
周りの冒険者もざわめいている。異名めいた名称で呼ばれていたし、
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