1部分:第一章
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命じられたならば火の中水の中」
「そうなの」
畏まって言う梟。だがアテナは彼のその態度の中に本心を見ていた。仮にも知恵の女神である。それを見抜けないアテナではなかったのだ。
(やっぱり彼も)
その澄んだ海を思わせる青い目に愁いを含ませて梟を見ていた。
(見たいのね、彼女が)
それを思うと苛立ちがまた募る。しかしそれを表に出すことは彼女の誇りが許さなかった。
「では行って来て」
「畏まりました」
その声はやはり待ってましたと言わんばかりであった。内心それがどうにも面白くなかったがやはり口にも顔にも出すことはなかった。黙っておいた。
梟は飛んでいく。アテナはそれを見送りながら一人思った。
「皆メデューサ、メデューサって」
実に面白くない。
「何がいいのかしら。全く」
最後にそう呟いてワインを口にする。だがそれでも気分は晴れはしなかった。
梟はすぐに帰って来た。すぐにアテナに報告する。
「メデューサ様ですけれどね」
「どうだったの?」
喜んで帰って来たのを見れば予想はつくがあえてそれを気付かないふりをして彼に尋ねた。
「やっぱりお美しい方でしたよ」
梟は満面に笑みを浮かべてそう述べた。
「やはり神様の血を引いておられますから。それで」
「そうなの」
「御覧になられますか?」
「そうね」
ここでも演技をして何気ないのを装った。
「じゃあお願いするわ」
「わかりました。それじゃあ」
梟の目が光った。そしてアテナの横にその光から映像を映し出したのであった。
そこには優しげな顔立ちの女がいた。小柄で容姿はまるで少女の様である。それが確かに美しい。とりわけ噂になっているその髪は。アテナでさえ目を瞠るに足るものであった。
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