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戦闘城塞エヴァンゲリオン
第4話Bパート『それぞれの仕事』
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「では、名刺(それ)を持って店舗にお越しください」
そう言って、サングラスを掛けなおす。視線が隠れ、思わず脱力する男、しかし。

「お待ち、しております」
サングラスを少しずらし、ちらりと視線を投げかけ念を押される。脱力した、その瞬間を狙い澄ましたタイミングに、息が詰まるようになってガクガクと肯きを返すのが精一杯で。


用は済んだと、ヒデオが去っていくと男はその場にへたり込んでしまった。
そこで受け取った名刺に気付き、思わず放り投げそうになるが。その瞬間またヒデオが引き返してくるのではないかと恐怖心から躊躇する。
持っているのも嫌だし、捨てる勇気もない。

そういえば、最近急速に広まっている『魔眼』の噂は、聖魔杯参加者であるこの男も聞いていた。あれが実物かと、自分が敵う相手ではないと心底から観念した。

とにかく、金を返しに行くしかないと立ち上がると、魔殺商会の金融会社の店舗がどこにあったかと思い出すのだった。


  ◇  ◇  3  ◇  ◇


「つまり、どゆこと?」
「会社に、負債を負った方々に。督促をして回っています」
ミサトが訊くと、そのような答えとともに名刺を差し出される。魔殺商会本社営業部の一員であることを示す記載。
魔殺商会の名は、この都市に住む者なら知らない者はない。貿易と金融を主体としたグループ企業。というのが表の顔だが、裏の顔はヤクザも避けて通るといわれるダーティな会社だとか。


「え、ええっ!?たしか無職だったはずじゃ?」
「…成人した、人間が仕事に就いていない。そんな筈がないでしょう?」

…、たしかに。
ミサトの感覚からすれば、何もしないで暮らしているなど共感できない。とにかく何だってやってみるバイタリティあふれる彼女からすれば。

「いつからよ。最近?」
「一ヶ月ほど前から。第二のほうでお世話になっていました」
平然とそう返されるが、事前の情報とは食い違う。身辺調査されたはずなのに。とはいえ、ミサトはヒデオの言い分に納得させられた。
というのも、この間の晩の襲撃者相手の立ち回りを見ていたからだ。戦闘の素人との調査結果と大いに異なる動きを、ミサト自身が目撃したのである。
二年も経歴が空白だといわれても、何の職にも就いていませんでしたといわれても。それよりは、非合法な手段で行方をくらましてました。という方がよほど現実的(リアル)だ。

「そういうわけですので。ご用なら、社を通してもらえますか」
「えーと、辞めてもらうとかは?…うち、結構高給よ」
じっと見つめ返される視線に、あからさまなヘッドハンティングとか問題になるんじゃなかったっけと思い至る。

「その意思はありません」
本人の意思も否定的で。
「ちょ、ちょっと帰って上と相談させ
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