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戦闘城塞エヴァンゲリオン
第4話Bパート『それぞれの仕事』
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えた。



  ◇  ◇  2  ◇  ◇


いつものように遅刻して出勤したミサトは、副司令から呼び出しを受けていた。
遅刻の言い訳を考えながら執務室に向かったが、特に遅刻について突っ込まれることもなかった。
いつものことだ、と諦められているからだろうか。

副司令から指示されたのは、ヒデオとの面談をしたいからその調整をせよというものだった。あわせて、今後直接の上司になるミサトが彼との連絡の窓口になるようにとも。

携帯電話も持っていないヒデオに連絡するため、一昨夜確認したアパートに電話して大家さんに聞いてみると今日は朝から出かけていると言う。ちょっと困った。

「ヒデオくんって、今ドコらへんに居るか調べられる?」
困ったミサトが頼ったのは、技術部のオペレータのひとりだった。急ぎだから。と市内の監視カメラ映像を検索してもらう。これも、この都市においてネルフが持つ特権のひとつだ。

監視カメラの映像を頼りにナビしてもらったおかげで、ほどなくしてヒデオを見つけることができた。
彼も自動車で移動していたようだが、それは近くの駐車場に停めて。道端に佇んで、何かを待っているようだった。
黒いスーツの上下に、サングラスを掛けており、ミサトにとって見慣れたネルフの保安部員とよく似ている。

「ヒデオくん。そんな格好で、何やってんの?」
「…葛城さん。ええまあ。仕事、です」
ミサトが疑問に思っていると、ヒデオはちょうどそこを通る一人の男の姿を見咎め。

「少々、お待ちを」

すたすたと歩いて、その男に無造作に近づいていった。

「な…何だ、テメエ」
ヒデオの異様な風体に、警戒する男。

「こういう、者で」
懐に手を突っ込むその仕草に、男はびくりと反応するが、取り出したのが1枚の紙切れであることに安堵する。拳銃が出てきても、それどころかショットガンやサブマシンガン等が出てきてもおかしくない気がする。

その紙切れを渡される――名刺だった。魔殺商会の文字に、男は自分が金を借りている相手だと気付く。ともかく、今は返す金がないので待って欲しいなどと言い訳をしなければ。
と、名刺から視線をヒデオに戻してみれば、ちょうどサングラスを外すところで。

その目が露わになった瞬間、男の全身からぶわっと汗がふき出し足が震えだした。異様な視線の鋭さに度肝を抜かれる。
まるで、絵だと思っていた虎が、何気なく至近距離まで近づいたその時になって生きた本物の猛獣であることに気付いたような。

「我が社への負債。返すつもりは?」
抑揚のない声で訊かれる。視線は男をじっと捕らえたまま。

「も…、もちろん。ちょ、ちょうど収入があって返そうと。ええっ。そう思っていたところですっ」
視線に耐え切れずに、そう応える。

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