おまけ6話『変化する瞬間』
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ハントが倒れた後も、当然のごとく戦闘は混迷の一途をたどっていた。
海軍はゴール・D・ロジャーの血を受け継ぐエースの処刑を、海軍という名の威信をかけて行おうとしているし、白ひげ一味は家族たるエースの死を防ぐべく奮闘している。
それぞれがそれぞれのために戦い、一人、また一人とこの戦場で人が倒れていく。
それが当然で自然であるかのように、いとも簡単に。
けれども、いや、だからこそ戦いは止まらない。
己が胸に秘する何かを掲げて、戦争は激化していく。
まるでこの世の終わりにすら見えるその戦場は、だがもちろん永遠に続くわけではない。
「来たぞーーーエースーーーーーー!!」
「ここを通りたくばわしを殺してでも通れ! 麦わらのルフィ! それがお前たちの選んだ道じゃァ!」
ルフィの前にガープが立ちはだかる。
「うわあぁぁぁ」
ルフィはガープからしてみれば実の孫。エースとの血のつながりはないが、それでもやはりガープからすれば実の孫同然。そんな二人の孫の命がかかっているこの状況で、ガープが本領を発揮できずしてルフィの拳によって地に沈められることとなった。
おそらくはそれが転換。
大将黄猿の妨害も――
「あぁっ! 鍵!」
海軍元帥センゴクの一撃も――
「私の手で処刑する!」
海兵たちによる無数に吐き出される大砲の砲弾も――
「処刑台ごとふきとばせぇ!」
――それらすべての妨害も、もう今となっては無意味なものだった。
それは、つまり。
そう――
「お前は昔からそうさルフィ! おれの言うこともろくに聞かねぇで、無茶ばっかりしやがって!」
――ついに、エースが自由を取り戻した。
フ、と。
暗い世界の中、力を失った世界の中で思い出す。
アレはいつの頃だったろうか。
『ハハハ』
子供の笑い声が響く。
あぁ、これは俺の声だ。
初めてベルメールさんに出会ったあの日、俺を生んでくれた、今はもう顔も思い出せない両親が死んでしまった日のことだ。
きっとこの日が俺の根本になってる。
今の俺を見たら父さんと母さんは何ていうだろうか。
よく頑張ったと褒めてくれるだろうか。
もっと頑張れと叱られてしまうだろうか。
わからないけど、きっと後者な気がする。
また、思い出す。
アレはいつの頃だったか。
『嫌なんだ! 気を遣うな!? 無理だ! だって俺の母さんなんだ! 母さんなんだぞ!?』
また子供の、けど今度は怒ってる声だ。
まだ、きっと俺とベルメールさんの関係が親子じゃなかったときの俺の声だ。
ベルメールさんに食事をとってもらいたくて、狩りが出来
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