おまけ3話『脱獄』
[1/9]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
『お前の首に用はないんだがな』
王下七武海の誘いを蹴って、白ヒゲさんの首をとるという、俺と同い年の男との、これが初めての出会いだった。
あいつの目に映るのはただただ白ヒゲさんで、俺なんかは道端に落ちてる石ころ。
自分の強さを知りたくて勝負を挑んで、結果は完敗。まだその時は覇気の存在すらあやふやだったあいつに俺は勝てなかった。
はっきり言ってエースは強い。
通算2勝4敗。まだ魚人空手陸式を習得できてなかった頃の成績を抜いても2勝3敗で負け越し。しかもその内の一勝はあいつが俺に対して油断していたからで、もう一つの勝ち星もほとんどマグレ。
要するに何が言いたいかというと、多分俺はエースよりも弱い。
俺にとってあいつはライバルだったけどそれ以上に友達だった。
きっと、だから……違っていた。
俺はあいつに負けたときすごい悔しくて、けどそれだけだった。あいつは俺に負けたとき本当に悔しそうで、何よりも自分自身に対して誰よりも憤りを覚えていた。俺よりも強さに貪欲で、誰よりも本気で上を向いて、白ヒゲさんを海賊王にするんだと張り切っていた。
それが、違いだ。
当時はわからなかったその違いが、今はわかる。俺に負けた時のエースの気持ちを、今なら理解できる。
「――……ト!」
上を向く。
俺がルフィを海賊王にする。仲間たちと共に、俺は師匠を超える強さを手に入れる。
横を向く。
ナミを守るのは俺だ。ナミとずっと並んでいいのは、この俺だ。
下はもう見ない。
後ろも振り返らない。
ただひたすらに、俺は麦わら一味として前へと進みたい。
「――……ント!」
だから思う。
ルフィやナミ、それに仲間たちと次に顔を合わるその日に胸を張って会うためにも、俺は自分にできる最大限のことをやらなければならない。
エースを助ける。
絶対に処刑を止める。
エースは友達だけど、それ以上に今の俺にはライバルだ。こんなところで死なせてたまるか。あいつは間違いなく自分にとって大切な人間だ。
絶対に助ける。
死なせたくない男を守り切ってこそ、俺は胸を張って前を向いていける。ルフィたちとも上を向きながら会えるというものだ。
「――ハント!」
ルフィの声が聞こえた気がした。
まったく、いくらエースやルフィたちのことを考えてたからって、そんな幻聴が聞こえてくるとは「――起きんか! ハント!!」
「はい、師匠!」
師匠からの命令。
反射的に立ち上がってしまった。
体が軽い。眠気もない。
あぁ、俺は熟睡してしまっていたらしい……ということはやっぱりさっきの言葉も夢で――
「――ハント! おめぇこんなとこに捕まってたのか!」
「
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ