暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
おまけ2話『師弟』
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せる。だから、そんなことはどうだっていいんだ」
「だ、脱獄? い、いやそれよりも……ど、どうだっていい……じゃと?」
「うん、どうだっていい。俺は師匠の弟子だからこそ今があるって思ってる」

 ちらりとジンベエへ視線を送り、次いでエースに。そして、遠いどこかを見るような視線で天井を。

「師匠が俺を弟子にしてくれたからエースと友達になれた、故郷を救えた、仲間に出会えた。師匠のせいでここにいるんじゃない。師匠のおかげでここにいるんだ。むしろ師匠が理由で捕まったなんて弟子としては最高だろ? だから迷う必要なんてないんだ、師匠」

「ハント……お前さんはっ」

 親指をたててサムズアップしてみせるハントへと、ジンベエは思わず言葉を紡ごうとして、ただ何故だかそれを口にするのが憚られて慌てて呑みこんだ。

 ――あのハントが。

 男子三日会わざれば刮目して見よ。
 そういうことわざがあるが、ジンベエにするならまさに今こそそんな気分だろう。どこか甘ったれの雰囲気がぬぐえなかったハント。もちろんその雰囲気は今もぬぐい切れていないが、それでも今やジンベエに息を呑ませるほどの言葉を平然と吐けるような人物として目の前にいる。

 ――これも麦わらのルフィという男のおかげかのう。謝らんといかんことだけでなく、礼も、か。あの男には頭があがらんかもしれんな。

 誰にも聞こえないような声で呟いたジンベエは、相好を崩して視線をマゼランへと返す。

「やはりワシはエースさんの処刑には――」
「――そういえば先ほどの海坊主の『仲間』という言葉で思い出したが、海坊主は――」

 ジンベエの協力を拒否しようとした言葉を、あえて遮ったマゼランが何やらの資料を懐から取り出し、それを見ながら呟く。

「――ふん、もう何を言っても無駄じゃ。ハントをいくら引き合いに出そうとも協力は――」

 腰を据えたらしく、もはや呆れたような声色にすらなっているジンベエ。ハントが無駄な気遣いなどいらないと言った以上、ジンベエにとってそれは板挟みにすらならない。完全に毛決意と自信を取り戻したジンベエだったが、またもや自分の言葉を遮ったマゼランの言葉により、一気にその顔色を変えることとなった。

「――海坊主は故郷をアーロンにより支配されていた人間だったそうだな。そう、お前の仲間だったアーロンに」
「っ!?」
「なんじゃと!?」

 息を呑んだのはハントと、ただ耳を傾けるだけに留めていたエース。そして血相を変えて驚いたのは当然だがジンベエ。

 息を呑んで驚いたハントだが、もちろんハントはそれを知っている。故郷でそれは聞かされていたからだ。嘘であってほしいと思っていた彼だったが、それが事実だった時の覚悟も、ある程度はある。そもそもまだジンベエがどう
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