おまけ1話『インペル、入っぺる』
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男が署長らしい。脱獄するためにはこの男を出し抜かないといけない。
……出し抜くとか苦手だなぁ。ブッ飛ばすとかならまだ簡単なんだけど。
「あぁ眩しい部屋だ。なぜ俺が一囚人のために……はあ〜」
なんだかぶちぶちと言いながらため息を落とす署長。
「う! ちょっと、ため息気を付けてくださいよ! あんたの息は本物の毒ガスなんだから!」
息が本物の毒ガス?
「……能力者?」
質問したものの答えは期待してなかった。
囚人風情が! 容易く口を開くな! とかなんかそういうことを言われるようなイメージが監獄にはあったから。けど、そんなことはなく署長はすんなりと俺の問いに対して答えてくれる。
「いかにも。俺はドクドクの実の毒人間だ。もしも脱走を考えているのなら諦めることだ。俺にはお前ら全員を処刑する権限とその能力がある」
どろりと、顔から毒液をにじませながら言うその顔はなるほど。強者の迫力がある。表情にも確かに監獄の署長を任されているという自信とか自負とかが見える。っていうかこれ、つまり触れたらアウトってこと? ぶっと飛ばすのも無理くさいんだけど、そうなると。
あ、もしかして普通に俺の問いに答えてくれたのはこういう牽制的な意味があったからなんだろうか。悔しいけどそれが目的なら確かに効果はあると思う。もともと簡単に脱獄は出来ないと思ってたけど、これは一筋縄ではいきそうにない。
「それで、どうして署長がここに? わざわざ一囚人を署長が連れていこうとするのは初めてだと思いマッシュけど」
副署長の言葉だ……しかしマッシュってなんだ。マッシュって。見た目だけでも独特なのに、どんだけこの副署長は独特な人間なんだ。
「こいつは少し特別な事情でな、とりあえずはレベル5に連れていく。ただしもしかすると、すぐにこいつをここから出すことになるかもしれん」
「事情……ですか」
署長に副看守長が首を傾げる。俺もわけがわからずに首を傾げる。
そういえばなんで急にルフィのじいちゃんに捕まえられのかとかは結局聞いてないからわからないんだけど、もしかして俺が急に捕まえられたことと何か関係があるだろうか。
ルフィたちじゃなくて俺だけに関する事情ねぇ……うん、わからないからいいや。まぁ正直な話、脱獄するつもりだけど、出してもらえるのならそれはそれでありがたいわけだし。
「署長がわざわざこいつを引っ張るのもその特別な事情が関係ありマッシュか?」
「ああ、万が一を起こさないためにな」
「わかりました、では後のことはお任せします。とりあえずあなたにはこれを」
副看守長が俺にバンダナみたいなのを渡して、そのまま敬礼をして去っていく。副署長も副看守長の後ろについて行ってすぐにいなくなった。
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