短編45「愛の難破船」
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「客船は嵐に合い、沈没してしまった」
「乗ってた人は?」
「他の乗客は知らない。海に投げ出され、気づいた時には島に漂着していた。その島には、二人しかいなかった」
「えっ!何それ。二人って男と女でしょ?乗ってる時にカップルになったの?」
「いや、全くの知らない同士。島に漂着してから、お互い同じ船に乗ってたのを知った」
「それから?」
「二人は助けあって生き抜いた。島に漂流してからいて1ヶ月後、助けが来た」
「で、二人は恋人に!?」
「いや、二人はただの男女ままだよ。その後、僕も知らない。その場でお別れだからね」
「なんで?誰もいない無人島でしょ!ああ、もしかして男の好みは、男だったの?そう?その方が納得いくわ!」
「いや、男は普通に女が好きさ」
「じゃあ、好みの女じゃなかったって訳ね?」
「どうして君はそうガサツなんだ?」
「じゃあ、なんで女に手を出さなかったの!?」
「まだ分かんないのかい?」
「だって信じる?あんな可愛い女の人と、1ヶ月も誰もいない島で、二人で暮らしてたんだよ!?」
「そうだよ」
「なんで!?」
「だって僕には、君がいたからさ。愛する君が待ってると思ったから、1ヶ月も必死に頑張ったんだ。女の人も同じで、彼氏に会いたい一心だった。だから僕らは助け合って……」
「え〜!でも〜」
ハア
僕は深いため息を吐いた。せっかく助かったのだが、僕らの愛は……
どうやら難破したようだった。
おしまい
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