1部分:第一章
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そのあわわの辻まで牛車で着く。あまり派手とは言えない質素な牛車である。連れている従者も僅かである。だがその従者は清明の弟子達であり陰陽道に通じている者達であった。
「清明様」
その従者の一人が牛車の中にいる清明に声をかけてきた。
「着きましてでございます」
「わかった」
その言葉を聞いて清明が牛車から出て来た。そうしてすぐに道に降りた。まるで天から降りたかのようにふわりと降りるのであった。そうして漆黒の夜の闇の中で辻を見るのであった。
「それではな。まずは」
「どう為されるのですか?」
「これを貼るがいい」
そう言って従者達に数枚の札を出してきた。
「それは」
「これを己の身体に貼れば姿が消える」
そう従者達に述べる。
「あやかしの者達にも見えはせぬ。だからだ」
「成程、用心の為ですね」
「そうだ」
こう彼等に答える。
「わかったならば。よいな」
「はい」
「それでは」
従者達もその言葉を受け清明に言われるまま自分の服に札を貼る。そうして姿を消し何者が出るかを見守るのであった。
札を貼ってからすぐにであった。清明は辻の向こうから唯ならぬものが迫って来るのを感じた。それを感じてその切れ長の目がさらに細まり鋭いものになった。
「これは」
「はい」
「まさしく」
従者達もそれを感じていた。これは唯ならぬ妖気であった。
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