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ソードアート・オンライン 神速の人狼
圏内事件
圏内事件 ー昼寝ー
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「おいおい……」

暖かい春の陽気の下、木陰の下で横を向き丸くなるように眠る白髪の少年を見て思わず口から言葉が溢れる。

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俺らが囚われている世界ーー仮想世界アインクラッドには四季や気候が存在する。
夏はキッチリ暑く、冬は刺すように寒い。それと同様に日々気候パターンにも変化があり、快晴の日もあれば、ジメジメとした雨天もありさらには変な羽虫が飛んでいるときもある。
大抵、何か良ければ何かが悪いアインクラッドの気候状態だが、今日だけは違った。ポカポカと暖かい春の陽気に、心地よく吹くそよ風。勿論、変な虫が飛び回っている訳でもない。

今が春だと言ってもここまで好条件な気候は年間通して、五回あるかどうか。
恐らく、今日は気候パラメーターの神様が攻略を止め、日々の疲れを癒せ、と言っているのだろう。
というわけで、今日は他のメンツには悪いが攻略をサボり昼寝を決行させてもらおうと決め、あふっ、と欠伸を噛み締めつつ最近見つけた昼寝スペースへと足を向けたところ、木陰の中で眠りこけるユーリを発見、そして冒頭へと戻る。

気持ち良さそうに眠るその姿はいつものユーリからは想像できないほど無防備で、瞼を閉じ、すやすやと寝息を立てるその寝顔は『本当にこいつ男か?』と感じざるえないほど幼げだ。

自分も何かと女顔や線が細い、キリコちゃんなどとからかわれる事があり、男気溢れる容姿をしていないのは、重々承知している。だが、こいつ(ユーリ)は俺以上だろう。

ーー最もそんな事をユーリの意識があるうちに言えば、コンマ一秒で反応して抜刀を放ってくるだろうが。

けど、無防備に眠るユーリの姿を見ていると何故かユーリが年の離れた弟/妹のように思えてしまい、守ってあげたくなる気持ちが湧き上がってくる。
ーーこれが俗に言う庇護欲っていうやつか。

一人結論を出すと苦笑する。
そんな事を起きているユーリにでも言えば、汚物を見るような眼で見られるばかりがただでさえ俺に冷たい態度がさらに極まるだろう。

ユーリの寝顔を観察していたキリトの目線が頭の上ーー通常のプレイヤーにはないはずのーー獣耳へと釘付けになる。
銀色の毛に覆われたソレは風に撫でられ時折ピクピクと気持ち良さそうに動いている。
ユーリの二つ名、《神速の人狼》の由縁でもある頭の上の獣耳と腰あたりから生えているふさふさの尻尾はキリトは前々から触ってみたいと思っていたのだが、ユーリが頑なにガードするため、今日まで触れられずにいる。

そして、ユーリの安らかなる寝顔を見てふと思う。

ーー今なら触れるんじゃね?と。

理性が危険だと警告(アラート)を鳴らすが、即座に煩悩がそれを黙らせる。
周り
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