番外最終話『絆は終わらない』
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なら私はいつまでだって待つわよ』
そう、彼女は言ってくれた。
「だから、待つわ。気長に、いつまでも。だから……だからハント――」
ナミが俺の胸に額を落として、そっと、きっとみんなに聞こえない声で言ってくれた。
「――絶対に帰ってきて。私はハントじゃなきゃ嫌だから」
無茶だ、とか。
無理だ、とか。
ごめん、とか。
がんばる、とか。
色んな言葉が浮かんで、だけど口から出たのはたったの一言。
「……うん」
「ししし、ハントがいなくなんのは寂しいけど今回ばっかりは決闘で負けちまったし、仕方ねぇ。このまま俺たちは次に進む。けど、絶対に戻ってこいよハント!」
「……わかった」
ルフィの言葉に、俺はまた頷く。
「ハント?」
「ん」
ナミに声をかけられて、ルフィに向けていた顔をまたナミへと向けなおす。
「空島で……あんたは自分のこと弱いって言ってたけど、私が保証する。あんたは強い。絶対に強い!」
「……ナミ」
「あんたの愛する私が言ってるんだから、こんなに信じられる言葉はないでしょ!」
胸を張って笑うナミの言葉がなぜだかストンと胸に落ちて、染み渡る。今まで自分で自分のことを強いだなんて思ったことすらないっていうのに、ナミの言葉は不思議な力を持っている。だから――
「――うん、わかった」
素直に頷けた。
「あとはウソップだけだなー」
そう言うルフィの言葉に、今まで黙っていたみんなが次々と口を開きだす。
今朝、ルフィたちに別れを告げたときとは、えらく気分が違っていた。
その後、ルフィたちはサニー号に乗ってウォーターセブンを離れる。途中、一味を抜けたことを土下座したウソップを再度仲間に加えて、ハントのいなくなった麦わら一味はまた航海を続ける。徐々に遠ざかるサニー号の背中を、ハントはガープの船から見つめていた。
その顔に悲観の色は全くない。
彼らは進む。
道は違えども、いつか合流できる仲間だからこそ。
彼らは笑顔で、夢を追いかける。
ただし、ハントの行き先は仲間たちとはまさに真逆。
過去に一度だけ、たった一人の脱獄者を許したものの、それ以来何十万人もの囚人の脱獄を許さない監獄。
カームベルトに存在するそれ。
そこは囚人にとっての夢の行きつく先の一つの可能性、夢の墓場。
大監獄インペルダウン。
ハントはそこへと連れていかれることになる。
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