番外35話『壁』
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フィのじいちゃんと決闘した場所が丁度いい。あそこなら廃船場で誰も来ないし、すぐそこに海があったからいい感じに風も感じれるだろう。
ぼんやりと歩き出して、その場所を見つけた。
「……ん?」
けど、残念ながら人影がある。仕方ないから別の場所に……そう思って通り過ぎようとして、丁度また雲に隠れていた月が顔をのぞかせたことで、そこに月明かりが差し込んだ。そして、気付く。
「あ、あれ? ルフィのじいちゃん?」
どう見ても本人だ。
声をかけるべきか、かけないべきか。ちょっとだけ迷ったけど、俺との決闘がどうだったかとかをどうしても聞いてみたくて足を向けた。
俺はこの時、たぶんだけど忘れていた。いや、きっと覚えていても他の選択肢はとらなかっただろう。なにぜルフィのじいちゃんはあまりにも海軍らしからぬ態度で、決闘で負けた俺を捕えることもしかったんだから。
だから、声をかけることが俺の道を一気に変えるものになるとは欠片も思っていなかった。
月明かりにさらされたハントの顔を見て、ガープが渋い顔で目を見開いた。彼にしては珍しい表情だろう。
「……来てしもうたか」
決闘の時とはまるえ違うガープの態度に、ハントは「えっと?」と首を傾げて、それでも数歩ほど彼へと歩み寄る。そんなハントにガープは言う。
「センゴクからの指令を受けて賭けをすることにしたんじゃ……ここにお前さんがこないなら指令のことは今回は忘れる……決闘も楽しかったしの。じゃがお前さんが来たら指令を実行すると、な。それで……お前さんは来てしもうた、ここに」
「え? センゴク? 指令?」
――意味が分からない。
未だに首を傾げるだけで逃げようとすらしないハントへと、また言う。
「海坊主ハント……お前さんを捕縛する」
「は!?」
海からの風が吹く。
甚平が、普段よりもはためいた。
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