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ある少女の話
ある少女の話
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宜しいでしょうか」
「え、ええ」
 戸惑いながらも答えた。
「喜んで」
「ならばお願いしますね」
 僕はまた言った。
「多くは言えませんが貴女は優しい方だ。そしてそれはよくわかります」
 彼女は答えられなかった。
「その優しさにまた触れたいと思います」
「こちらこそ」
 彼女は立ち上がった。そして僕の方に歩み寄って来た。
「是非ともお願いしますね」
「はい」
 握手した。その手は小さいが温かい手であった。
 次の日僕は洋館を後にした。彼女は駅まで見送ってくれた。
「また御会いしましょう」
「お願いします」
 僕は白浜を後にした。だがすぐに戻って来るだろう。あの過保護な少女の下へ。

ある少女の話   完


                2005・1・24
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