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ドリトル先生と二本尻尾の猫
第三幕その十一
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「子供の頃からずっと可愛い可愛いって言われてきたのよ」
「それはいいことだね」
「そうでしょ、けれどね」
「まずはなんだね」
「そう、性格だから」
 それでというのです。
「先生もここは相手を見付けなさい、先生の性格ならね」
「相手いるから」
「優しくて公平で穏やかでしかも紳士なのよ」
 ここまで揃えばというのです。
「しかも裏表がなくて人の悪口も言わない」
「僕はそんなにいい人かな」
「いい人よ、少なくとも猫も人も他の動物もお肌の色や第一人称で馬鹿にしたりしないでしょ」
「それは後で大変なことになるからね」
 どんな相手もそれで判断してはとです、先生も答えます。
「しないよ」
「そこよ、そのこともね」
「僕のいいところなんだね」
「それでどうして相手の人がいないのよ」
「いるんだね」
「いるわよ、それでうちのお嬢さんも」
 その人もというのです。
「私が保障するけれどとてもね」
「いい娘なんだね」
「私は嘘は言わないから」
 こうまで言い切るのでした。
「本当にね」
「じゃあその娘とね」
「会ってみるの?」
「そして相手の人はね」
 そちらの方はといいますと。
「ちゃんとね」
「どうした人か調べるのね」
「そうしよう」
「わかったわ、じゃあまずはね」
「猫君達でね」
「その人のことを調べるわ」
「さてさて、恋の橋渡し役とは」
 先生はお静さんとのお話が一段落したところでこうも言いました。
「はじめてだよ」
「それでも宜しくね」
「うん、頼まれるとどうしてもね」
 ここでこう答えるのが先生です。
「断れないからね」
「やっぱりいい人ね、先生は」
「そうかな」
「それで損をするかも知れないけれど」
 頼まれると引き受けるその性格がです。
「けれどね」
「それでもだね」
「それ以上のものが先生は降って来るわ」
「マナがかい?」
「そして先生はそれを皆にあげてから残ったものを自分が受け取る人だから」
 先生のその徳によって得られたものをというのです。
「余計にいいのよ」
「だといいね」
「じゃあ、一緒に頑張りましょう」
 そのお嬢さんの恋を適える為にとです、先生とお静さんは約束しました。そのお話が決まってからお静さんは先生にこんなことも言いました。
「さて、後はね」
「後は?」
「お話も終わったし私ちょっと動物園に行って来るわ」
「八条学園の中にある」
「動物園の猫ランドの顔役の以蔵さんとお話があるのよ」
「以蔵さんっていうと」
「猫ランドの中の猫又のうちの一匹よ」
 そうした人だというのです。
「その人とね」
「お話をしに行くんだね」
「そうなの、お酒を飲みながらね」 
 こう楽しそうにです、お静さんは先生にお話しました。

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