第一部
第六章 〜交州牧篇〜
七十 〜徐州での一夜〜
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とはいかぬ。理由は、貴殿程の人物なら説明するまでもないと存ずるが」
「……手ならございます。諸葛瑾殿を呼んで戴けませんか?」
翌朝。
「輜重隊は責任を持って、徐州城まで届けさせるわ」
「忝い」
「いいわ。これで、今回の貸し借りはなし、という事でいいわね?」
「うむ」
「じゃ、歳三。また会いましょう」
そう言い残し、華琳は騎乗する。
遠ざかっていく曹操軍を見送る中に、陳登が混じっていた。
「しかし、よくあの曹操さんがあっさりと提案を受け入れましたね」
「そこが付け目なのですよ、諸葛瑾殿。曹操殿とて人の子、実の親を一刻も早く安全な場所に届けたい。そして諸葛瑾殿も徐州城に一族の方がおられる。肉親の情に訴える、というのは存外陳腐なようで有効な策ですから」
涼しげな顔で、陳登はそう言った。
「でも、一族と言っても遠い親戚なんですよ。曹操さんがよく調べればすぐに露見してしまいます」
「いいじゃない、朱里ちゃん。今更前言撤回するような御方でもないしね」
「……雑談はその辺りに。殿、急ぎ参りましょう」
「そうだな」
輜重隊と別行動の今、食糧も手持ちの分のみ。
邑や城を辿りながら向かうしかないが、そこは陳登が手引きするとの事。
「参るぞ」
「応っ!」
我が軍は一路、徐州城へ向けて進み始めた。
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