番外34話『邂逅』
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と向かって動き出す。
そこまで見続けて、やっと思い出した。
「師匠にもらったビブルカードだ、これ」
あれ、けどなんかこれもらった時よりも随分と小さくなってないか? ……ってそんなわけないか。気のせいだな。
これの存在を完全に忘れてた。よかった、師匠に再開する前にこれのこと思い出しておいて。もしもこれの存在を忘れてたら、絶対に拳骨をもらうことになってた。師匠の拳骨は体に響くから出来るなら受けたくない。
「……うし、そろそろ走るか」
体もほぐれたし、そっと門を出てから走りだす。まだ光量は薄明るい程度。早朝にしても随分と早めの朝のためか、人通りはほとんどない。これなら気持ちよくジョギングできそうだ。手を握った開いたりしながら走る。
別に握力を鍛えるためとかじゃなくて、なんとなく、だ。
師匠を思い出して、師匠との約束も頭に浮かんで離れなくなっていた。
『もっと、もっと強くなってます!』
俺はこう約束をして、師匠から離れた。
魚人島はグランドラインの丁度半分の地点にある島だ。グランドラインに入ってある程度の島はもう超えてきた。もしかしたら魚人島につくまでにはそこまで時間は残ってないのかもしれない。
どうせ師匠のことだから魚人島にいるだろう。つまり、俺はもうすぐ師匠に会うことになる。
その時、俺は胸を張って師匠に会えるんだろうか。『俺、強くなりました』って自信をもって言えるだろうか。
師匠に会ったら伝えたいことがたくさんある。
もちろん、胸を張って強くなったって言いたい。俺も成長したんだって胸を張って師匠に会いたい。
師匠に鍛えてもらっていた時に言えなかった、俺の目的。師匠の同族の魚人を倒すことが目的だったって伝えないといけない。その師匠の同族がアーロンっていう魚人だったって言わないといけない。
ココヤシ村で家族に俺の師匠がジンベエだって伝えたときに知ったこと、師匠がアーロンを東の海に解き放ったっていう噂の真実も知りたい。嘘ならそれでいい。本当ならその理由を知りたい。俺は師匠に感謝しかないから何も思わないけど、ナミには謝ってもらいたい。
色んなことを師匠に伝えないといけない。
色んなことを師匠と会って話さないといけない。
「……」
軽く、ジョギングの速度をあげる。朝の景色が楽しくて、頬をなでる風が気持ち良い。
「……はは」
小さく笑ってしまう。
違う。
そう、違う。
師匠に会って伝えたいことがたくさんあるって……それは違わないけど、きっと俺の本心じゃない。
「……ほんと、俺はルフィに比べると小さいなぁ」
俺はただ笑いたいんだ。
師匠に会って『成長したのう』とあの人の不器用な微笑みに、頭をなでられたい
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