番外33話『バスターコールバスター』
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を超えて存在している。ところかまわず戦えば勝てると、ハントは本気で思っている。けれど、今はだめだ。ルフィたちから離れるわけにもいかない。
ならば、賭けに乗ってルフィに勝ってもらって、それで青キジには引いてもらうというのが一番いい選択だ。
それらを、たっぷりと時間をかけて考えたハントは青キジへと頷いた。
「……わかった。どうせルフィが勝つからそれでいいや」
「言ってくれるねぇ」
波間に揺られてゆらゆらと。
彼らはまるで傍観者のように勝負の行く末を見つめる。
そして。それから間もない時間。
「一緒に帰るぞぉ! ロビ〜〜ン!!」
ルフィの雄たけびが勝負決着の合図。
「賭けは勝ち……だな。油断させといていきなり後ろからとかナシだからな!」
「あらららー、海軍も信用されてないね。というかそんなことするなら最初にやってるでしょーが」
「……まぁ、確かに」
「それで、今戦っている海軍はどうするんだ? 沈めていいのならすぐにでも沈めるけど」
「待て待て、ちゃんと俺が停戦を呼びかけるからちょっとは待ちなさいよ、全く」
「……わかった、じゃあ俺もルフィたちにそれ、伝えてくる……あれだぞ! 嘘ついたらダメだからな! そういうの良くないからな! あれだ……ダメだ! うん、とにかくホントだめだからな!」
何歳児? と思ってしまうような子供っぽい捨て台詞を残して、ハントは青キジへと背を向けて海を泳ぎだす。
青キジは海軍で、ハントは海賊で、いわゆる敵同士。
慣れ合いは不要、無駄な会話も、当然不要。つまり、彼らに別れの言葉など必要なかった。
その後、青キジの命令により海軍側は停戦。
船を失って帰る手段のないルフィたちは、だがどうやって流れ着いたのか無人で現れたメリー号に乗り込み、司法の島エニエスロビーを後にした。
「この喧嘩……俺たちの勝ちだ〜〜〜!!」
大海原で、海軍の追ってもないことを確認した麦わら一味。メリー号の上で、ルフィの勝利宣言が響く。
「またあんたは無茶して! 甚平が真っ赤じゃないの! っていうか体中が――」
しれっと、いつの間にか合流していたハントへと、ナミが唾を飛ばす。人によってはそれも随分とご褒美になってしまうのだが、まぁハントはそういう趣味でもなく、素直にうなだれているのだが、いつまでも続きそうなナミの言葉を、フと遮った。
「――なぁ、ナミ」
「何よ! 本当にもう! ちょっと目を離したらすぐにこうなるんだから! だいたいあんたはね――」
「――デートすっぽかしてごめんな」
「え?」
そこでピタりと、ナミの動きが止まった。
「良かったらまた明日か明後日かぐらいに……俺と行ってくれないか?」
「う、うん」
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