番外33話『バスターコールバスター』
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人空手陸式を使う。そのことになぜだか楽しくなったらしい彼がそっと笑みをこぼして、腕を振りかぶる。
「海――」
「――あー、あれだ。ちょっと落ち着け」
「っ!?」
いつの間にいたのか、とか。
いつ背後を取られた、とか。
あらゆる疑問が浮かぶが、それはもう一瞬でハントの脳裏を過ぎ去って、ただ一つの疑問だけへと変わる。
「……なんで青キジ……大将のアンタがここにいるんだ」
「発動権限を渡したのは俺……となると、バスターコールがどうなってるか気になるじゃないの」
ハントが振り向いた先で、自転車に乗っている青キジがそこにいた。その言葉に、ハントの表情が気圧されたそれになり、動きを止めた。彼の耳に届くのはみんなが戦う音と、海が揺れる波の音。
にらみ合う二人の、わずかな沈黙を破ったのは青キジ。
「賭けをやらねぇか?」
「……賭け?」
「ああ……今戦ってるモンキー・D・ルフィとロブ・ルッチどっちが勝つか」
「はぁ?」
いきなりの問いにハントは単純に気の抜けた声を漏らす。当然だろう。ハントがこの賭けを飲んだとして、ルフィに賭けないわけがないし、青キジは青キジで政府側のロブ・ルッチに賭けないわけがないからだ。
「賭けは簡単だ。どうせどっちがどっちに賭けるかはお互いわかってる。モンキー・D・ルフィが勝てば俺はこのまま何もせずにてめぇらにも手出しをしねぇ。ロブ・ルッチが勝てば……そうだな、少なくともてめぇには凍り付いてもらうかね」
「……なんで、こんな賭け? さっき俺はあんたに気づかなかった。いきなりやられたら反応もできなかったはずだったのに」
「CP9は総崩れ、バスターコールもてめぇにやられて見る影もねぇ……本来なら既にこれは俺たちの負けだ。ロブ・ルッチが例えモンキー・D・ルフィを倒せてもてめぇには勝てなさそうだしな」
大将がまさかの負けだという発言をしたことで驚愕の表情を浮かべるハントは、僅かに上ずった声となって疑問を問う。
「け、けど、あんたならこの状況も簡単にひっくりかえせるだろ?」
「おいおい、だから本来なら既に俺たちは負けてんだってさっき言ったろ……負けが決まった戦局をわざわざひっくり返そうとするほど俺はやる気のある人間でもねぇ」
「……」
ハントは考え込む。
戦ってるのはルフィだけじゃない。他のみんなも、今は戦っている。さっきから見ている限り、脱出用の船も破壊されたようだし、決して余裕のある戦いとは言えないだろう。本当はすぐにでも軍艦を沈めてフォローに行きたいハントだが、なにせ目の前にいるのは青キジ。
――断ったら……青キジと戦闘になるんだろうなぁ。
海では、ハントは負けない自信がある。例え相手が青キジだろうと、海を凍らせて来ようと、海の体積は人智
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