番外30話『一味の行方』
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「本当かよ」
「そう言ってた、その船大工はな」
船に帰ってきたサンジとチョッパーに、俺たちが聞いたメリー号の状態の話をしていた。
やっぱりサンジとチョッパーも動揺している。
――背骨が折れて動けないでいる仲間を、まだ戦わせたいのか?
要するに、こういうことだろう。
メリー号を直せないと言った船大工の言葉を要約すると。
自分で思って、けれど、それにしっくりときてしまった。
例えば俺がメリーだったとして、それならば足を引っ張りたくないから先に行ってもらいたい、置いていってもらいたいと、そう思う。背骨が折れてて動けない俺に、お前はまだやれる。だから一緒に戦え。なんて言葉を言われてもそれは辛いだけだ。
置いていくことこそが、船を乗り換えることこそがきっと俺たちにとってもメリーにとっても一番正しいことなんだろう。
だけど、簡単に『だから仕方ない』なんて、割り切れる話では決してない。
「……」
メリー号のマストをなでる。継ぎ接ぎだらけの、ひどい修理だ。
前にウソップが言ってたたけど、こういった一つ一つに俺たちの思い出が詰まってる。
傷跡がなくなる。それぐらいならむしろ嬉しいことだと胸を張れたはずなのに、もうメリーにはどうやら乗れないらしい。
それが一番賢い選択だと思ってても、感情はどうやら納得できないようで、拳を握りしめる。
「……俺に船の知識があったら、もしかしたらこんなことにはならなかったのかな」
そっと呟いた。
誰にも聞こえないように呟いたつもりだったけど、どうやら他のみんなの耳にも届いてしまったようで言葉が返ってきた。
「いや、そういう問題じゃねぇだろ。竜骨ってのは一度やられたら終わりってあの船大工が言ってたんだ。もしも船大工の仲間がいても同じ結果だったろ」
「お前の責任になるならメリーの修理をまともにしてやれなかった俺たち全員の責任だろうが」
……ごもっともだ。
「メリーはどうなるんだ?」
「さぁな、最終的にはどう判断するかだ。造船所にいる3人で答えを出してくるだろう」
「……ルフィはどんな決断するんだろうな」
「わからねぇが……俺たちはあいつの決断に従うまでだ」
乗り換えるのか、それとも諦めずにメリーの底力を信じて強引な修理を頼むのか。いや、それとも一縷の望みを託して直せるっていう太鼓判を押してくれる船大工の職人を探し回るのか。
どういう決断をするにしても、これは重大な選択だ。俺には絶対に出来ない選択だ。
「船長ってのは重いな」
「うん」
たぶん俺と同じような思いを抱いてるんだろう、チョッパーが頷いた。
「……それが船長ってもんだ」
「……だな」
ゾロの言葉にサンジが同意して、
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