暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外30話『一味の行方』
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聞いてない。牛の奴に聞いてるんだ。ちなみに、これがダメなら降参しないからな。お前らがなんで俺に手加減しようとしてるのかはわからないけど、俺は気にせず本気でやってやる」

 真顔で、牛の仮面に言うハントの言葉に、牛の仮面は嘆息を吐きだして「いいだろう」と頷いた。喜色を浮かべて「わかった、降参する」と両手をあげて降参のポースをとるハントとは対照的に今度はロビンが「そんな! それじゃあ約束と違うじゃない!」と叫ぶ。

 ――約束? さっきからこの仮面の奴らが手抜きなのと関係あるのか?

 首を傾げるハントだが、流石にそれを口に出すことはなく呑みこむ。否定の態度を見せていたロビンも、牛の男の小さな耳打ちにより「いいわ」と納得したらしく、ロビンはやっと普段通りのどこか余裕のある表情へと戻った。

 目隠しをされて、手錠をはめらて、さらにはロープで体を縛られた状態になったハントに対して、ロビンは尋ねる。

「どうして私と一緒に連行をされようと?」

 その言葉で、ハントは「どうしてって」と若干に戸惑いの声を漏らす。

「ロビンがそれだけ必死になって戻ろうとしないからには何かあるんだろうし……俺じゃあ説得もできそうにないし、強引に連れ帰ってもロビンがなんか泣き出しそうだし、まぁ連れて帰るのを諦めただけだ」
「諦めて、どうして一緒に連行を?」

 なかなか要領を得ないハントの受け答えに、ハントは「あぁ、それはだって連れて帰れそうにないから俺も一緒にロビンと行く。そんで、俺たちを助けにルフィたちが来るまで俺がロビンを守ればいい……っていう当たり前の考えをしただけだろ。ロビンにしては珍しく察しが悪いな」

 ――あっはっは。

 と、捕まっているくせに笑いながら言うハントの言葉は、色々とロビンにしてみればおかしいことだらけで、彼女は言葉を失った。

 捕まっておきながらロビンを守ろうという思考はハントの言うように当たり前の考え……という訳では明らかにないし、ルフィたちが助けに来ると当然のように考えていることも、ロビンからしてみれば普通ではない。それなのに、それを思いつかないロビンのことを察しが悪いと言って笑うハントは、やはりロビンにすればおかしいの一言。

 完全に混乱して、何も言えなくなってしまったロビンに対して、ハントは続けて言う。先ほどまで笑っていたハントだが、いつの間にかその表情は真剣なそれだ。

「……悪いけど、ロビン。お前がどうして一味から抜けたいって言うのかは俺には全然わからないけど、俺たちから簡単に逃げれると思ったら大間違いだ。今まで碌な海賊と一緒にいてこなかったせいで知らないんだろうけど、ロビン。一味から抜けるっていうのはそんな簡単なもんじゃないぞ?」
「っ」

 再度、ロビンは言葉を失うことになった
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