番外30話『一味の行方』
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ハントは「あっはっはっは!」笑いだした。
いきなり不気味なほどに笑いだしたハントに、流石にロビンたちの動きが止まり、未だに笑い続けているハントの背中へと二人は振り返った。
「……何がおかしいの」
当然の問い。それを投げかけられてハントの笑いがピタリと止まった。ゆっくりと振り返ったハントの表情は確かに笑顔そのもの、目が笑っていないとか雰囲気からして怒りを感じるとか、そういう内なる怒りが一切ない、純粋に楽しそうな笑顔。
「なぁ。ロビン……それは流石に無理だ」
「……?」
どれに対して無理と言っているのかわからずに首を傾げるロビンへと、ハントは言葉を続ける。
「俺たちは海賊で、船長はルフィだ……抜けたいから抜けるなんてそんな我儘は海賊には通じない。どうしても抜けたければ自分でルフィに言わないと。ま、貴方には関係ないって言葉でルフィが引っ込むとは思えないけど」
「……そう、でも私は戻らない」
「……そっか、じゃあ仕方ないよな」
強硬な手段を取り続けるロビンに、ハントはふっと息を落とした。
「ええ、仕方ないのよ」
「ああ、わかった……なら、力づくでルフィのところへ連れていく」
「なっ!」
驚き、反射的に一歩下がったロビンと笑みを浮かべるハント。その間に入ってきた熊の仮面の男を気にせずに、ハントはロビンへといい続ける。
「ロビンがどういうつもりかなんてどうだっていい。何を隠しているのかなんてどうだっていい……ロビンが例え俺のことを無関係だって言おうがどうだっていい。俺が昼に見たお前の顔は笑ってた。チョッパーと一緒に笑ってた。なら、俺が……いや麦わら一味が、ロビンが勝手に船を抜けることを許さない」
ハントはロビンへと笑って、最後に言う。
「俺たちはもう海賊で……仲間だから」
「っ」
息を呑むロビンと笑うハント。それが皮切りだった。
「剃」
突如として熊の仮面の男が視界から消え失せる。いや、消え失せるほどの高速で動きだした。ほとんど無音での移動で、いつしかハントの背後へと回り込んでいた熊の仮面の男は一本の指をそのままハントへと向ける。
「指銃」
銃の威力を誇る一本の指をそのままハントへ放った。
ハントは知らないが熊の仮面の男は政府の暗殺をも許された特殊な諜報機関の人間だ。彼らの身体能力はまさに超人。過去にも今にも、そしておそらくは将来にも熊の仮面をかぶっている男にとっては呼吸と大して変わらない労力で人を殺すことが出来る。
だから、今回もそう。
ロビンとの密約により、実際に殺すことはしないがそれでも深い傷を負わせて黙らせることは簡単な話だった――
「魚人空手陸式」
――そう、熊の仮面の彼は思っていた。
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