第一部
第六章 〜交州牧篇〜
六十九 〜臥龍、羽ばたく〜
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え? も、もしかして私の事、ご存じだったんですか?」
と、荀攸は不敵に笑いながら、
「ええ。無論、徐庶さんの事もですけどね」
さらりと言いのけた。
「はわわ……」
「はにゃ……」
……驚くその姿だけを見れば、荀攸の言葉は見当違いも甚だしいのだが。
「本当、歳三は人材に恵まれ過ぎね。妬けるわよ、全く」
「……華琳。言っておくが」
「わかってるわよ。ま、歳三ごと手に入れればいいだけの事だしね」
「それよりも、琅邪郡へ急ぐべきではないのか?」
「……そうね」
負傷兵を残し、再び我らは東へと進み始めた。
行く手に、古びた城壁が見えてきた。
規模は小さいが、恐らくはこの辺りの軍事拠点となる場なのであろう。
「着いたようだな?」
「はい、ご主人様。……お姉ちゃん、無事かな」
「大丈夫よ、朱里ちゃん。……ほら」
と、城の方から誰かが駆けてくるのが見えた。
「……あ。お姉ちゃーん!」
ちぎれんばかりに手を振る朱里。
「あれが、諸葛瑾だな?」
「はいっ!」
その後ろから、ゆっくりと歩んでくる人影も見える。
「華琳様。どうやら、間に合いましたね」
「……ええ」
恐らく、曹嵩らなのであろう。
華琳も、普段の毅然とした態度ではなく、安堵に満ちた表情をしている。
「良かったな。お互いに」
「そうね。……協力、感謝するわよ」
無邪気にはしゃぐ朱里を見ながら、私も内心、胸を撫で下ろした。
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