第一部
第六章 〜交州牧篇〜
六十九 〜臥龍、羽ばたく〜
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、諸葛瑾も。どちらも救おうぞ」
「ええ。獣如きに、どちらも死なせはしないわ」
そう宣言する華琳は、いつもの覇気に満ち溢れていた。
更に数日が過ぎた。
途中、抵抗らしき抵抗も受けず、我らは琅邪郡へと入った。
「華琳様。敵勢が判明しましたよ」
「そう。銀花、ご苦労様。それで?」
「はい。この先にいるのは張ガイの率いる本隊、総勢五万ほどとの事です」
「……此方の約三倍、ですか」
「確かに敵は烏合の衆でしょうが、それでもちょっと多いですね」
朱里と愛里(徐庶)が、溜息をつく。
「確かに我が軍は殆ど無傷ですが、まともに当たれば被害も甚大なものになります。かと言って、あまり時間をかける訳にもいきませんね」
「秋蘭の言う通り、さっさと始末を付けないといけないわ。銀花、どんな策を用いればいいかしら?」
「ええと、まずは動揺を誘う必要がありますね。とりあえず、態と噂を流しましょう。華琳様と土方様が、十万の兵を率いて討伐に向かっている、と」
「……なるほど。曹操さんも歳三さんも、黄巾党征伐で名を上げた御方。その残党を名乗る以上、それだけで威圧する効果がありそうですね」
「はい、徐庶さんの仰る通りです。このお二方が手を組んで向かっている……それだけで、士気は下がり、逃げ出す者もいるかと」
「しかも、自分たちの倍と号する精兵、ね。問題は、真に受けるかどうかだけれど」
「それは大丈夫でしょう。張ガイという者について調べさせましたが、元々は小規模な部隊を率いていた程度のようです。指揮官としての経験は乏しいと見て宜しいかと」
荀攸の言葉は、立て板に水の如く澱みがない。
……流石、正史でも曹操に重用された人物だけの事はあるな。
「では、まずは手を打つとして。問題が二つあるわよ?」
「一つは、逃げた賊を放置しておくのか、と仰せになりたいのでしょう?」
「そうよ。確かに集団から散らばった賊は、私達には脅威にはなり得ない。でも、庶人にはどうかしら?」
「その点は、秋蘭様にお任せしようかと思います」
「……ふむ。賊の退路で待ち受け、矢で仕留めるのだな?」
「ご明察です、秋蘭様。伏兵ですので、大軍は必要ありませんし」
「討ち漏らしが出る可能性はあるけど、この際そこは目を瞑りましょう。銀花、もう一つは?」
荀攸は頷き、続ける。
「動揺を誘い、脱走させたとしても大部分は残りましょう。恐らく、我が軍を上回る規模で」
「繰り返すけど、精兵をこんな戦いで損じたくはないの。で、どうするの?」
「……徐庶さん、諸葛亮さん」
「はい?」
「何でしょうか?」
「私にも腹案はありますが、お二人は如何ですか? 宜しければ、ご意見を聞かせていただきたいのですが」
「そうね、私も興味があるわ。歳三、いいかしら?」
ふむ、華琳の意を汲
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