狂った宴の後に
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新兵千人を、三十と一で相手にするというのだ。彼らも男だ、あまりにバカにした発言には苛立ちも湧く。それがどれだけ愚かしいことか分からずに。
「無抵抗な人間を殺すのはいやだー、弱い人間に情けを掛けないのはいやだー、戦うならちゃんとした理由を以って戦いたいー……そんなこと言っちゃうんだから、この地獄を作ってるあたしは敵なんでしょ? 怯えてるだけってバカみたい。いやだいやだで通る甘さは戦では通用しない。それより……自分の意地一つ通せないなんて……ひひっ、無様♪」
挑発は彼女の十八番。
出来る限り人の感情を逆なでするように言葉を選んでいくだけ。
目を細めて明は新兵達を嘲笑った。自分達はお前の行いを許せないとでも言えれば彼らは徐晃隊くらいのバカになり得る……が、それは到底無理な話。新兵達には憧憬を向けるべき指標も無く、バカ共の頂点も居ないのだ。
「殺すのが嫌になったら掛かって来いよクズ共。あたしと第一は飢えてるかんね。逃げ場がない現実ってもんを教えてあげる。ほら、準備出来たみたいだよ? 初戦場に行って来い」
此処が本物の戦場なら、此処で新兵の一人でも鎌で叩き斬って恐怖を助長するところだが、明はしない。
逃げ道を残してやったのは、自分で選ばせる為。選択する力は意思を以って、自分から動かないと強さは手に入らない。
弱者は要らない。人形もいらない。張コウ隊を作るには、効率を求めて自分で考える烏合の衆で、命令には絶対に従う者でなければならないのだ。
生贄達は、漸く解放された自由にも歓喜を浮かべず、只々臆病に兵士達を見ていた。
直ぐに逃げようとしたモノは殺された。訓練を積んだ兵士に勝てるわけがない。張コウ隊の第一が、逃がすわけも無い。
武器が置いてある場所は少し遠かった。取りにいくのは戦うということ。でも、せめて少しでも生きたいから、生贄達はぞろぞろと武器に向かっていく。
「あ、言い忘れてたけど五人で一人に当たるんだから勝てるのは当たり前だよね? それなら……一人ずつ今から言う部分だけを狙うことー。一桁が一と六は頭と胸、二と七は左上半身、三と八は右上半身、四と九は左下半身、五とゼロは右下半身ねー。殺したら切り取ってあたしの前に持ってこい」
「そ、そんなこと――」
「だからぁ、嫌とか無理とか言うなら掛かって来いってば。あんた達は味方で殺し合いたいクチなの? それとも千を二つに分けて殺し合う? 張コウ隊と戦いたい?」
ぐるりと見回されて、赤い血で染まった彼女の笑みを見て、彼らはもう従うしかないのだと理解を深めていく。
抗いたいと思いながらも従ってしまう群集心理。強者に抗える人間はそんなに多くは無いのだ。
うんうんと頷いて、明はぺろりと舌を出した。
「あたしの専属精兵は五千でいい。あんたら
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