狂った宴の後に
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本当に無駄な思考だ。こんなに居心地よく感じてしまうあたしなんて……あたしらしくないじゃん。
今は目の前のことを優先しないとね。
見れば、丁度最後の肉片を男が食べきったところだった。
――うん、これで準備は完了。いいねー、もっとタノシイコトはじめよう♪ 此処が戦場じゃないなんて、誰が決めたのさ♪
気分がいい。
秋兄の教えてくれた『ふぁらりすの雄牛』は楽しかったし面白かった。満腹にはならないが、どうしようもないあたしの性はある程度満たされた。
それじゃあ……最後に大事なバカ共を増やそうか。
戦場を住処にするロクデナシを。
徐晃隊と相似な、恐怖で縛られた狂信者達を。
でも、やっぱり楽しいはずなのに、胸に穴が開いていた。
この気持ちはなんだっけか……ああ、あたしがまだあたしだった時みたいだ。
この感情は確か……
空しいっていうんだっけ。
†
ひらり……と紅揚羽が宙に飛び跳ねた。
大きな鎌を手に、彼女の行く先には張コウ隊の男達。
にやりといつも通りに笑いを漏らせば、彼らは緊張から身体を少し強張らせる。
十分に見回した後にくるりと反転、見つめるのは新兵達。鎌で指し示すは……贄となった人間たちであった。
「じゃあ始めよう♪
新しく張コウ隊に入る予定のバカ共に告げる! 此れよりお前達には“戦をして貰おうか!”」
唐突な発言は麗羽と斗詩以外誰も予想しえないモノで、呆気に取られる。
張コウ隊でさえ、赤の少女の背を不思議そうに見つめていた。
「其処に転がっている紅揚羽の生贄達の縄を此れから解き、女であろうと老人であろうと武器を与える! そいつらは袁麗羽の敵にして……あたしの敵だ!
喰らわずに残した数は二百! お前らの数は千! 五倍の兵力差を以っての制圧戦となる! 来る前に番号を言いつけ、同じ一桁ないし二桁番号のモノで小隊を組ませているはず! 五人で一人に当たり、皆殺しにせよ!」
な……と吃驚の声を上げたモノは多く、新兵達は怯えから腰を引いた。ただ張コウ隊の第一だけは、明の下した命令の為に準備に動いた。
弱いもの達を殺せと、彼女は言っているのだ。剣を持ったことのない相手であれど理不尽を行え、と。
新兵達はまだ人を殺したことは無い。だから彼女は……否、秋斗は此処でヒトゴロシを経験させて、最初の叩き上げを行うつもりだった。
声も出せない彼らを見て、明は呆れたようにため息を一つ。
「……反発する民の鎮圧とか、戦場で投降したか分からない敵や賊の制圧となんら変わらないんだけど……あんたらそんな覚悟も無いまま兵士になったの?」
義勇軍など普通の民が戦っているに過ぎないのだ。
幽州の大地は民でさえ
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