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Transform! And we go ahead to the tomorrow…
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がしたかったのだ?
女の為、居場所の為とほざきながら、結局は自分のことしか考えていなかった分際で」

「シンムグルンまで…。違う! 僕は…!」

 歪む、歪む。今度はシンムグルンの姿が形を変えていった。
 その姿を見た光実は、信じられない思いで首を左右に振った。

「だってそうだろう?
お前は多くの犠牲の果てに、そこにいる。
多くの亡骸の、その上に立っている。
今さら何を恐れるというんだ?
お前のその手いったいだれの血でそまっている?」

「レデュエ…!」

 レデュエはくくく、と押し殺したように笑いながら、光実を見る。
 まるで新しいおもちゃを買い与えられた子供のように、笑みを隠し切れないといった様子だ。

「そんなところで反省ごっこなんてせずに戻ってきなよ。さぁ、本当の自分を解放するんだ」

 ---大…で……か?

 光実の脳裏に、かつての鉱汰との戦いの思い出が流れ出す。
 いや、思い出などという綺麗なものではない。あれは悪夢だ。人智を遥かに越えた命のやりとりの記憶だった。

『ヨモツヘグリスカッシュ』

 記憶の中の自分が矛を振りかざし、エネルギーを溜める。
 必死に手足を動かそうとしても、声を上げようとしても、記憶の中の自分が止まることはなかった。

「やめろ…」

 静止の声も虚しく、記憶の中の自分は矛を振り上げ、床を蹴って飛翔する。
 一瞬の迷いもなく、まっすぐに鉱汰を狙っている。

『ハァァァァァ…!』

「やめろ…!」

 ---ミ…チさん、大丈…ですか?

『ハァッ!!』

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 ぶつり、と肉を裂く音がする。
 いつの間にか、自分と記憶の中の自分は一つになっていた。
 その手には、鈍く光る矛の柄。
 その先端は、鉱汰の胸に深く突き刺さっていた――。


***


「鉱汰さん!!」

「わわっ! びっくりしました!!」

 気がつけば、光実は広場のベンチに腰かけていた。
 ビートライダーズの様子を見に行った後、どうやらここで眠ってしまっていたようだ。

「えっと…こんにちわ、ミッチさん…ですよね?
…ずっとうなされてましたけど、大丈夫ですか?」

 光実は重い頭を何とか動かし、周囲を見渡す。
 そこには驚いたように目を見開く少女の姿があった。

「あなたは…確か346の…」

「はい! 島村卯月です!
すごい汗…よかったらこれ使ってください」

 卯月からハンカチを手渡される。
 それを受け取ると、ずっと感じていた妙な圧迫感が少し軽くなるのを感じた。

「…ありがとう」

「うわごとで誰かの名前をよんでいたみたいですけど…」

「…鉱汰さんのことで
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