―覇王―
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「敵襲ー!」
覇王軍本拠地、ジェノサイドブリッジ。時刻で言えば夜と朝の境目、暁の時間――永遠に夜のままのこの世界で、そんな概念があるかは不明だが。ともかくその時間に、レジスタンスは覇王軍への総攻撃を開始した。
戦士たちの電光石火の奇襲に対し、あくまで寄せ集めだった覇王軍は対応に遅れてしまうが、それも一時的なこと。幹部が1人でも前線に来るか、覇王自らがくれば戦況はひっくり返されてしまうだろう。
しかし、残る幹部は補充した分も含めて残り二人。前線にたどり着くより先に、二人の決闘者が足止め――いや、覇王軍の幹部を壊滅させるべく動いていた。
「僕の相手が出来ることを幸運に思うんだな」
「……デュエルといこう」
カイザー亮とエド・フェニックス。二人の異世界から来たデュエリストが、残る幹部二人の前でデュエルディスクを展開する。
『デュエル!』
――そして、その二つのデュエルが開始されるとともに、肝心の覇王の下に1人のデュエリストが到着した。
「覇王……」
オースチン・オブライエン。彼はポケットの中にしまい込まれた石を握り締めると、震える声をごまかしながら覇王の名を呼んだ。覇王は、奇襲にも何ら反応を見せることはなく鎮座しており、オブライエンの呼びかけに答えるように、ゆっくりと立ち上がる。
「……お前か。臆病者に用はない」
「……俺はもう逃げたりしない!」
しかしオブライエンの顔を見た瞬間、覇王は落胆の色を隠さず浮かべたが、オブライエンの気迫の篭もった叫びにピクリと反応する。自らを奮い立たせるように、オブライエンはさらに言葉を続けていく。
「覇王……ジムの為にもお前は倒す!」
そう言い放つと、オブライエンは自身の愛用する銃型デュエルディスクを抜き放ち、目にも止まらぬスピードで腕に展開していく。
「……いいだろう」
そのオブライエンの気迫を認めたのか、それともデュエリストとは戦うだけとでも言うのか。覇王専用のデュエルディスクが展開していき、オブライエンに剣を向けるような形となって、覇王のデュエルの準備は完了する。
「楽しませてもらおう」
覇王はかつてのような台詞を――ただし十代の時とは違う意味だろう――呟き、オブライエンはその威圧感に耐えながらデュエル開始の宣言を開始する。
『デュエル!』
オブライエンLP4000
覇王LP4000
「ジム……俺を導いてくれ……俺の先攻!」
デュエルディスクに表示された先攻は、オブライエン。もはや何度目となったかも分からぬジムへの決意を口にしながら、オブライエンは手札に揃った五枚のカードを確かめた。
「俺は《ヴォルカニック・ロケット》を召喚!」
まず召喚されたのは炎
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