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鏡に映るもの
8部分:第八章
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 ハインリヒはこれ以上はないという程に眉を顰めさせながら彼等に対して問うた。
「貴殿等は。違うというのか?」
「はい、違います」
 あの奥方が答える。今度はあの陰気さはなくやけに明るい顔である。まるで喜劇役者の様に朗らかに笑っている。それで顔まで変わって見える。
「私達は化け物ではありません」
「では何だ?」
「妖精です」
「妖精!?」
「そうです。妖精です」
「ですから鏡に映った時に」
 彼等は口々に明るく笑いながら二人に対して言ってきた。
「ころころ姿が変わりましたでしょ?」
「それだ」
 ハインリヒはそこを指摘する。
「それで化け物だと思ったのだ」
「姿は私でも」
 また奥方が言う。

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