暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外26話『デービーバックファイト』
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「てめぇこら、またナミさんに抱き付こうとしてんじゃねぇだろうな! っつうかいきなりイチャラブしようとしてんじぇねぇよ!」
「いやいやいや! まぁ人前では気を付けるよ」
「人前では、だとぉ! このクソ甚平! ここらでそろそろ決着をつけてやる!」
「なんでだよ! 何の決着だよ! っつうか怪我人を蹴ろうとすんな!」
「うるせぇ、やっぱてめぇはオロさなきゃ気が済まねぇ!」
「だー! 蹴りが頬をかすめたぞ! 避けなきゃやばい威力だったぞ今の!」
「何枚にオロしてほしいかだけ聞いてやる」
「そんな危険なリクエストはないっての! バカか!」
「誰がバカだこの――」

 永遠に続きそうな、くだらない喧嘩が始まっている中で、ロビンが冷静にナミへと呟いた。

「――じゃあ長鼻くんの代わりに漁師さんの名前を書いたらいいのね?」
「あ、うん。ありがとう、ロビン。それでお願い」
「……なぁ、お前はいいのか?」

 唐突に入ってきたのはウソップだ。
 ついさっきまでは欠場したいと言っていたのに、いざとなったらウソップを欠場させようとするナミの意図がよくわからないからこその質問だったのだが、ロビンが横から「フフ」と笑い声を漏らした。

「……? なんか面白いこと言ったか? 俺?」
「いいえ、けど……航海士さんの気持ちを考えたらすぐわかるんじゃないかしら?」
「……ナミの気持ち?」

 よくわからずに首を傾げて、答えを求めるようにナミへと視線を送る。その視線に、ナミは困ったように、だがどこか嬉しそうにも聞こえる声色で小さくつぶやく。

「だって怪我してるハントが出るんでしょ? ……だから私がハントのフォローしてあげないといけないっていう……それだけよ」
「漁師さんは愛されてるのね」
「あ、愛って、ロビン!?」
「フフ、じゃあ提出するわよ」




 デービーバックファイト1回戦。
 競技種目、レース。
 その名もドーナツレースが開催されようとしていた。 


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