暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外26話『デービーバックファイト』
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してくれる味方だと思っていたナミからの逆援護射撃。チョッパーが慌ててしまうもの仕方がないだろう。

「どうせ、出る種目はレースなんだし。しかも場所は海なんでしょ? ハントなら全力で体動かせなくてもきっとあんな奴らぶっちぎるわよ!」
「……うー」

 風向きが変わった。
 チョッパーも、ナミの説得に唸るような声で考え始めた。すかさず、ナミがハントの頭に手を置いてぐっと力を込める。

「ほら、ハント! あんたも頭下げて!」
「お、おう……頼む、チョッパー!」

 ナミとハントの両方に頭を下げられて、遂にチョッパーも「わかった! わかったよ! その代り怪我が治るのが遅くなっても知らないからな!」と匙を投げる形で降参した。

「サンキューチョッパー! よ、人の心がわかるなんてさすが名医!」 
「め、名医だなんて言われても……って、くら! ごまかされねぇぞ!」
「はっはっは、いやほんとありがとうな、チョッパー! ナミも、ありがとうな!」
「ホントよ、もう」

 ため息交じりに、けれどやはりあまりにも嬉しそうなお礼を言われてナミも悪い気はしないらしく、穏やかな笑顔で頷いた……のまでは良かったのだが――

「――ほんと大好きだ!」
「ちょっと!?」

 喜びすぎてハントの感情が爆発しているのか、ナミを強く抱きしめて「いや、もうほんと大好きだ」と同じ言葉を連呼し始めた。

「てめぇこら! このクソ甚平、ナミさんから離れろ!」
「おうふっ!」

 ナミからの抵抗はなかったものの、お決まりのサンジからの蹴りがハントの顔面に決まってそのまま吹き飛ばされた。二人が恋人関係だということを知ってはいても、目の前でいちゃつかれるのはどうも我慢できなかったらしい。

「ちょ、ちょっとサンジ君!? ハント大丈夫!?」
「いっててて、うん、ごめん。ちょっとやりすぎた」

 怪我をしているのにサンジの蹴りを喰らってしまっては、と慌ててハントに駆け寄るナミだったが、もちろんサンジもそのあたりはわかっている。顔面を蹴りとばされたというのにほとんど無傷のハントが立ち上がって、ナミへといきなり抱き付いたことを謝罪する。

「う、うん。それはまぁいいんだけどね」
「……えっ! いいの!?」
「い、いや! やっぱ良くない! ……うん、よくない! 人前だとやっぱり恥ずかしいし」
「あ……そっか、そうだよな。ごめん」
「う、ううん」
「……」
「……」

 なぜかいきなり頬を赤く染めて黙り込む二人。ちょっとばかり入りづらい空気をいきなり醸し始めた空気の読めない二人へと、サンジがそこに嫉妬の炎を全開にして乱入した……いや、サンジの場合は二人に対して乱入したというよりもハントに対して乱入した、といったほうが正確かもしれないが。

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