暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外26話『デービーバックファイト』
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ういやラブーンっていただろ? 花のおっさんのとこにいたクジラ」
「えっとクロッカスさんね、うん。覚えてるけど」
「なんか馬も10年、竹馬のおっさんを待っててよ。それでラブーンにも仲間を会わせてやりてぇっていう話はしてたぞ? けど、それぐらいだ。やっぱ馬が撃たれてハントも相当怒ってるんだな」
「……そ、か」

 ルフィの推測は間違っていないが、それは表面上のものであってハントの心情として正確ではない。それを、ナミは察した。

 馬、とか。
 竹馬のおっさん、とか。 

 ナミからすればどうも曖昧な言葉ばかりだが、それでも聞き捨てならない言葉をナミはルフィの言葉からしっかりと聞いた。
 キーワードは『馬が撃たれた』『10年』『待つ』『ラブーン』といったところか。

 要は、50年もの間、ラブーンが仲間の帰りを待っているという話を聞いた時に、他のみんなががもう逃げて帰ってこないとその仲間を否定したときにハントが必死になって声を張り上げたときと一緒だ。 

 ラブーンは50年。馬は10年。ハントは8年。

 ずっと待っていた待ち人に出会えた。その嬉しさはナミが誰よりも知っていて、もちろんハントも知っている。
 だから、馬――シェリー――と竹馬のおっさん――トンジット――の再会に、ハントもまた自分のように喜んでいたんだろう。
 だから、そんなシェリーが銃で撃たれたことでハントは怒っているのは決して単純な怒りではない。自分も勝負にいかないと気が済まないと憤っている。

「……」

 じっと、ナミはハントを見つめる。
 その顔、その目、その空気。
 チョッパーに対して申し訳ないという気持ちからか、どこか目じりが下がっていて悲しそうにすら見えるその目つき。なのに、絶対に譲らないといわんばかりの厳しい表情。
 だから、ナミはため息をついた。

 ――ああ、もう! 世話の焼ける! 

「出たい!」
「ダメだ!」
「頼む!」
「ダメだ!」

 ハントとチョッパーの不毛な言い争いを尻目に、ナミがウソップへと声をかけた。

「ウソップー」
「な、なんだよ」

 少しばかり猫なで声のナミ。
 はっきり言って危険な発言をされる予兆でしかなく、それをもう経験で知っているウソップが僅かばかりに後退りながらも反応する。

「ハントと代わってあげたら?」
「なんだ、そんなことか……よーし、このキャプテンウソップ様がハントに代わりに欠場……え?」
「絶対に出……え?」
「ダメだったらダメ……え?」

 ウソップが頷いて呆けた声でナミを見つめて、同様にハントとチョッパーも呆れたような声でナミへと振り返った。

「私からもお願い、チョッパー」
「え、な、なんでだ?」

 誰よりもハントの出場を反対
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