番外26話『デービーバックファイト』
[3/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
――10年、だもんな。
ハントがアーロンに殺されかけたのは今はもう8年も前。12歳のころ。8年もの間、ナミや、家族、島のみんなを救いたいという一心でハントはジンベエの下で修業を積んできた。その8年、ただ必死だった。
ジンベエと共に暮らし、白ヒゲ一味と交流を持つようになって、それで8年。苦しくも長く、けれど楽しい時間でもあったハントにとって、死ぬほどつらい8年間をナミや島の皆に味あわせた罪悪感は今も胸に残っている。
その間にどれだけの苦痛があったかを、ハントはなんとなくではあるが、聞いて知っている。けれどあくまでもハントは待たせた側だった。10年もの間たった一人でトンジットのことを待ってきたシェリーの心境を測ることなど、待たせる側だったハントに出来るわけがない。
「……」
ふと、ハントは思い出す。
50年間、双子岬で仲間の帰りを待ち続けていたクジラのラブーン。
仲間が帰れないかもしれないという絶望に目をそむけるように自分の体を痛め続けていたラブーンへ、新しい希望を与えたのは間違いなくルフィ。
10年間、ここでトンジットを待ち続けていた白馬のシェリー。
ほとんど偶然とはいえ、長い竹をへし折ったことでシェリーとトンジットの奇跡の再会を果たさせたのも、間違いなくルフィだ。
「ほんと……すごい船長だ」
エネルにやられたせいで満足にまだ動かない自分の手を何度か軽く握りしめて、ハントは己へと苦笑する。シェリーとトンジットに夢中になっているチョッパーとウソップを尻目に、ハントはルフィへと小さな声で言う。
「なぁ、ルフィ」
「……んん?」
「ラブーン……覚えてるだろ?」
いきなりの質問に「は?」とルフィが首を傾げる。いきなりで普通に首を傾げてしまう話題に、けれどルフィが怪訝な顔をしたのは一瞬だけ。すぐに楽しそうに答えた。
「ああ! ケンカの約束したんだ、忘れるわけねぇだろ。花のおっちゃんも元気でやってかな〜?」
――これだよ。
いきなりのことで、それでもルフィはすぐに答えたことにハントもルフィ同様に笑顔に。
普段から何も考えてなくて、どうでもいい人物ならその名前すらあやふやなくせに一度約束したらもう忘れない。そういう思考回路が、ルフィがルフィたる所以でもある。
「それがどうしたんだ?」
「グランドラインから逃げ出したって言うラブーンの仲間……俺、さ。やっぱどこかでまだ生きてるって思いたいんだよ。今もきっとどこかで約束を果たしたいって、ラブーンを待たせて済まないっていう思いで、どっかにいると思うんだ」
「……」
「だから、このグランドラインの航路でラブーンの仲間、探してみようって思う……もちろん航路の最中にそれっぽいのがいるかどうかを確認するこ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ