解放
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デバイスにも送りましたわ」
「証拠だと……ッ!?」
いきなりデバイスを展開して突入してきた管理局員と、そのリーダーである禿頭の男は、自分たちのデバイスに送られた情報を開いて目を通していた。送られた報告書と何かの動画ファイルを目の当たりにするとリーダーの男は目を見開いて驚き、わなわなと震える手で余裕そうに微笑むエレンさんを指差した。
「こ、これをどこで手に入れた!? こんな記録をいつの間に……ま、まさか! 貴様らはこの情報を掴んでおきながら、あえて表に出さなかったと言うのか!?」
「ええ、手札は最も効果的なタイミングで使うものですから。“裏”に限らず、世界を渡り歩く事に置いて最強にも匹敵する武器、それは“情報”ですわ。あなたは情報の重要さを理解出来なかった、それが致命的な弱点を生むとも知らずに、ただ力ごなしに押さえつければいいと思い込んでいた。しかし今……正確には彼の戦いが終わった瞬間から、あなたは“情報”によって全てを失ったのです」
「ど、どういう事だ……!?」
「ネットをごらんなさい、情報弱者。あなたが資金を横領し、無辜の生命に多大な犠牲を強いてきた研究の手助けをしていた事が、今頃デジタルの世界で白日の下に晒されています」
私もバルディッシュからネットを開いて、母さんや姉さん、アルフと共にニュースや情報サイトを見てみると、エレンさんの言う通りの状況になっていた。今回の潜入任務でお兄ちゃんが撮って送ってくれた写真、無線越しに聞こえたアレクトロ社の会話、クロノが記入してくれた記録、それらを任務の合間にエレンさんが編集していたものが全て電子の世界に流出していた。そしてそれを目の当たりにした市民達は、コメント欄にこう書いていた。
『治安を守る管理局なら世界の平和を乱す裏切り者を断罪しろ!』
『管理局はテロリストに法の鉄槌を与えろ!』
『アレクトロ社、またも不正! 26年前の事故も実は仕組まれていた事だった!?』
『衝撃事実! 今行われている裁判はかつての被害者に更なる罪を擦り付けるための物だった!!』
『管理局とアレクトロ社の癒着! 管理外世界の人間を内密に強制労働! 社会に潜んでいた闇が暴かれる!?』
などなど。エレンさんが流した情報は私達に同情が集まり、横領や実験を行っていたこの男の人やアレクトロ社に敵意が向くように上手く作られていて、しかも嘘は言っていない事から情報の強さと恐ろしさを私達は実感した。
そして思った。今は味方だから心強いけど……情報をここまで巧みに操るエレンさん達が敵になっていたらどれほど恐ろしい事になっていたのか、私の頭では想像も出来なかった……。
「き、きさまらぁ……!!! よくも……よくも……!!!!」
「これで少将という立場は消滅、あなたはアレク
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