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ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
外伝・閑話
外伝・閑話3話 ディーネの憂鬱
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にしようと、全員があれこれと改造する……特にギルは自重しない。剣の展示や本(+本棚)が増えていたり、グランドピアノが増えていた等は可愛い物だ。何かやっているなと思ったら、次の日には部屋に壁が半分ぶち抜かれ部屋が広くなっている……なんて事もあった。

 話しがそれた。……そんな訳で、この時間は本を読むかお茶を飲んで過ごすのが常道である。他愛無い雑談や仕事の話もするが、基本的にフリーの時間だ。

「ギル〜」

 この快適空間、唯一の汚点が動き出した様だ。

「何ですか?」

 ギルが返事をすると、カトレア姉さまは黙ってグランドピアノを指さす。……このバカップル共が。

「一人でやってください」

「むぅ」

 しかしギルは、にべもなく断ると再び読んでいた本に目を落としてしまう。……酷い。一言で切って捨てた上に全く躊躇が無い。

 そんなギルの対応に、姉さまは頬を膨らませると一人でピアノの前に行く。そして一人でピアノの弾き語りを始めた。コテコテのラヴソングで、曲名は“名も無き旋律”(某魔法少女アニメの前身アドベンチャー二作目で、歌手の卵であるヒロインが主人公に贈った曲)だった。やたらと好き好き言う歌詞は、甘ったるい事この上ない。

 一曲終わってギルの方を見ると、全くの無反応……見事なスルーっぷりである。ギルの反応を確認した姉さまは、見るからに不満ですオーラが滲み出ていた。爆発しそうで怖いから、ギルには如何にかしてほしい。そう思っていると、姉さまがピアノに向き直る。

 次の曲に歌詞は無い様だ。そしてとても寂しい旋律が部屋を満たす。

 ……この曲名は記憶の風(「モンテ・クリスト伯」をモデルにした。中世ヨーロッパを舞台にしたRPGで、主人公とヒロインが演奏したピアノ曲)だ。正直に言わせてもらえば、私は「モンテ・クリスト伯」のストーリーの方が気になる。しかし演劇で使うとしたら、ハルケギニア向けに改変しなければならない。あらすじを聞きかじった程度の私では、それは不可能だろう。誰か台本を書き起してくれないだろうか。

 そう思いながらギルを見ると、本を閉じ立ち上がった所だった。顔には“しょうがないなぁ”と、書いてあるかのようにみえる。そのまま姉さまの隣に行くと、ギルもピアノを弾き始めた。姉さまの女性パートだけだと寂しいだけの曲だったのに、ギルの男性パートが加わると途端に豊かな音色となる。

 やがてピアノを弾き終えると、ギルはソファに戻り本の続きを読み始めた。カトレア姉さまも満足したのか、ピアノを拭き片付けている。そこで私は“今のギルは余裕があるはずなので、台本を書く事は十分に可能なはずだ”等と考えてしまった。

「ギル」

「何ですか?」

「私は“モンテ・クリスト伯”のストーリーが気になるのですが…
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