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ドリトル先生と二本尻尾の猫
第三幕その二

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「そうしたことは」
「構いませんか」
「同じキリスト教ですから」
「同じ、ですか」
「そうです、仏教で言うと宗派の違いですね」
 教授さんは日本の仏教の考えから先生に答えました。
「そうですよね」
「そうなりますね」
「はい、ですから」
「イギリス国教会の立場の論文でも」
「別にいいと思います」
 全く、というのです。
「日本では誰も言いません」
「そうですか」
「はい、そもそも日本で言われたことありますか?」
 その論文の違いについて、というのです。
「そうしたことは」
「ええと、言われてみますと」
 先生は教授さんの指摘にこれまでのことを振り返りました、すると。
 何もなくてです、こう答えました。
「ないです」
「そうですよね」
「何か日本ではキリスト教と一括りにされていますので」
「カトリックとプロテスタント、そのプロテスタントの中の違いはですね」
「大きな問題ではないのです」 
 そうあれこれ喧々諤々と話す様なことはというのです。
「別に」
「そうなのですね」
「そうです、仏教もそうですから」
「では僕も気にせずに」
「書かれて下さっていいです」 
 神学の論文もというのです。
「イギリス国教会の論文も面白いですから」
「だからですか」
「日本にはあまり縁がないですから」
「イギリス人がいても前面には出ないですね」
 このことは実は先生もです、宗教はそのままでもです。
「言われてみると」
「ですから余計にです」
「面白いのですね」
「そうした論文だと神学部の方で話題になっていますよ」
「そうですか」
「はい」
 教授さんは先生ににこりとしてこう言いました。
 そのうえで、です。先生にこうも言ったのでした。
「あと、これは私事ですが」
「何でしょうか」
「実は私最近猫を飼いまして」
「猫をですか」
「正確に言えば猫もですね」
「そういえば貴方は犬を飼っておられましたね」
 先生は教授さんとのお付き合いの中でそのことを知っていたので犬のことをお話に出しました。
「そして今度は」
「娘が友達から貰ってきまして」
「猫をですね」
「まだ子猫ですがやんちゃで」
 ここで教授さんは少し苦笑いになって言いました。
「しょっちゅう家族に悪戯します」
「猫はそうした生きものですね」
「それで娘はよく猫を叱ります、妻も」
「そして教授は」
「はい、全くです」
 教授さんは先生に苦笑いのまま答えました。
「それが」
「叱ることはですか」
「しません」
「叱れないのですね」
「その子を見ていますと」
 他ならぬ子猫をというのです。
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