暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第二章 天空の大陸 アルビオン
トリステインの王女
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「突然申し訳ありません。どこで誰が聞いているか分かりませんから。」
その声にルイズと架ははっとする。その透き通るような声は数時間前に聞いたばかりだ。
「久しぶりね、ルイズ・フランソワーズ!」
フードを脱いで顔が露わになったその人物は、トリステイン王国の姫君アンリエッタその人だった。
「ひ、姫様!?」
相手の正体に気付いたルイズは慌てて膝をつく。それをアンリエッタは悲しそうな表情で咎めた。
「ああルイズ、そんなにかしこまらないで!私たちは幼馴染でしょう!」
「もったいないお言葉でございます、姫様。」
その後、二人はしばらく幼い頃の思い出話で盛り上がっていた。その時のアンリエッタは一国の姫君ではなく、何でもない年頃の一人の少女だった。少なくとも眺めている架にはそう思った。
そうしていると、ふとアンリエッタと目が合った。
「そういえば、こちらの方はどなたなのですか?」
「ええと・・・私の使い魔でございます、姫様。」
「使い、魔?」
一瞬、架のことをどう言ったものか逡巡するルイズであったが、忠誠を誓う姫様に嘘を教えるわけにもいかず正直に話す。キョトンとした顔で目をぱちくりさせているアンリエッタに架は一礼して名乗った。
「ルイズ・フランソワーズの使い魔をしております、影沢架と申します。」
「・・・ああ、貴方が。」
「?姫様、カケルをご存じなのですか?」
「ええ。あの土くれのフーケを追い詰めたという・・・。」
そういえば、と架は思い出していた。オールド・オスマンは破壊の杖を取り戻した件を王宮に報告する際、ルイズの使い魔の働きが大きいということも伝えていたのだった。
「王宮の貴族は『使い魔がトライアングルクラスのメイジを倒せるわけがない』と信じられない貴族も少なくないのです。私も最初は耳を疑ってしまいました。」
でも、とアンリエッタはルイズに向き直って言った。
「貴女の名前を聞いた時、信じることにしたんです。私の大切なお友達のルイズなら、そんな嘘をつくはずがない、きっとそんな素晴らしい使い魔を呼び出すことも出来るはずだ、って。」
「姫様・・・。」
アンリエッタの言葉にルイズは感激したように瞳をウルウルさせていた。架が「良かったな。」と視線を送ると、照れたような笑みを浮かべた。
が、平和な話もここまでだった。アンリエッタがわざわざ護衛の目を盗んでまでルイズの元へやってきたのは、ある重要な用件があったためだ。
「席を外しますか?」と架が気を利かせて申し出たが、「主人と使い魔は一心同体、ルイズに話すなら貴方にも聞く権利があります。」と同室を許可された。
「実は私・・・ゲルマニアに嫁ぐことになったのです。」
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