暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第二章 天空の大陸 アルビオン
トリステインの王女
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「だから見とれてたわけじゃないって言ってるだろ。」
「嘘つき!ジッと見ていたじゃない!」
「『見てた』と『見とれてた』は違うだろうが。」

 アンリエッタ姫が学院を訪問した夜。ルイズと架はもういい時間なのにも関わらず言い争いをしていた。と言っても、ルイズ一人が癇癪起こし、架は冷静に受け流しているだけだが。

「じゃあ、何であんなに見ていたわけ?」
「何で・・・と言われてもな。」

 聞かれた架は、どこか懐かしそうな顔をして呟いた。

「知り合いに、似ているような気がしてな。」
「え・・・架の知り合い?」
「ああ。強くて、どこまでも真っ直ぐな、そういう女だった。」

 架の脳裏に描かれるのは、親友と共に戦う一人の王の姿。果たしてそれが姫殿下と似ているのか、架の言う『彼女』が誰かを知らないルイズには分からない。ただルイズにはそれよりも気になっていた。架がその人の話をする顔が少し嬉しそうだったのが。
 だから無意識に口に出してしまった。

「もしかして・・・その人のこと、好きなの?」
「・・・え?」

 ポカンとする架であったが、言ったルイズの方が驚いていた。自分は何故そんなことを彼に聞くのだろう。ただ、架が他の女性のことを嬉しそうに語るのは何か嫌だった。
 暫く考えていた架はやがて首を横に振った。

「いや、それは分からない。ただ・・・」
「ただ?」
「そうだな。・・・・・憧れてはいたよ。」

 その言葉にルイズは黙って俯いた。まただ。何だろう、胸がモヤモヤする。どうして?別に架が誰のことを話そうと私には関係ないのに・・・。

「・・・どうした、ルイズ。さっきの授業といい今といい、何か悩み事でもあるのか?」

 こちらの様子を見て気になったのだろう。架が心配そうな声で尋ねてくる。先ほど授業中では悩み相談がてらに聞き出そうとしたのだが、これでは逆である。しかしいい機会である。この際はっきりと聞いてしまおう。

「あ、あのね、架。実は・・・」


 コンコンッ


 突然、ドアがノックされた。唐突だったため二人は同時にビクッとしたが、架がすぐに持ち直し「俺が出る。」と言ってドアの方に向かった。
 「こんな時間に誰かしら。」と呟くルイズ。しかも最悪ともいえるタイミングだったためその顔はややご立腹である。
 架がドアを少し開けた瞬間、その人は滑り込むように部屋に入ってきた。漆黒の頭巾をかぶっており、顔がよく見えない。

「だ、誰!?」

 誰とも知らぬ来客に思わずルイズ。が、来客はそれを意に介さず同じく黒いマントから杖を取り出すとそれを振るった。

「ディテクトマジック・・・。」

 魔力を探知するための魔法である。部屋全体を見て何も反応がないこ
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