暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第二章 天空の大陸 アルビオン
トリステインの王女
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頃、姫様のお遊び相手を務めさせて頂いていたの。」
「遊び相手?要するに幼馴染ってことか。」
「まあそういうことね。もう何年も会っていないけど、覚えて頂いているのかしら。」
ニコニコ顔で言うルイズに架もつい頬を緩ませる。と突然ルイズは「あ、そういえば。」と何かを思い出したかのように架の方を向いた。
「あ、ありがとね。」
「ん?」
「さっきのことよ。その、私を庇ってくれて。」
「ああ、あれか。気にするな、俺もあいつが気に食わなかったし。」
「でもあそこまで怒るなんて。貴方も他の人たちから避けられちゃうわよ。」
「何だ、心配してくれるのか?」
ニヤリとしながら言う架にルイズは「ち、違うわよ!」と顔を赤くしながら反論する。その反応に架は「冗談だ。」と笑いながらルイズを落ち着かせるために頭を撫でる。それでルイズの鼓動は増々落ち着かなくなるのだが、残念ながら架は気付いちゃいない。
「あれぐらい脅しをかけた方がもう何も言ってこないだろ。それに、」
架はまるで妹を想う兄の様に言うのであった。
「周りが俺をどう言おうが、俺には全くもってどうでもいいことだからな。」
「トリステイン王国、王女アンリエッタ姫殿下のおな〜〜り〜〜!!」
正門より現れたのは豪華な馬車が二台。そして王室直属の近衛騎士や魔法衛士が数名、その馬車を守るように固めている。馬車のうち一台は豪華に装飾され幻獣であるユニコーンが引いている。乗っている人物が如何に高貴な方であるかを物語っていた。
馬車が止まり扉が開くと、まずは老人―――枢機卿であるマザリーニが現れた。彼は馬車の横に立つと、続いて降りてくる人に手を差し出した。
マザリーニの手を取って現れた人物に生徒から歓声が沸く。ニコリと薔薇のような美しい微笑みを周囲に振りまくこの人こそ、アンリエッタ王女であった。
「あれがトリステインの王女?私の方が美人じゃない。ねえダーリン。」
「キュルケ!何さり気なくカケルの腕に抱き着いているのよ!」
「仕方がないでしょ、狭いんだもの。」
こんな場所でも言い争いをしているルイズとキュルケ。いつもなら止めに入るのは架の役目なのだが、今の架は周囲に手を振るアンリエッタをジッと見ていた。
―――似ている?いや、アイツはあんな風に笑わないし・・・。でもどことなく・・・やはり同じ―――
とそこまで考えていると、
「ちょっと、どこ見てるのよダーリン!」
「な〜に姫様にウットリしてるのよアンタは!」
こちらの様子に気づいた二人が左右から同時に肘鉄をかまされ、危うく意識が飛びそうになった。
べ、別にウットリはしていない・・・、という架の想いは痛みで声に出すことは出来なかった。
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