第一部
第六章 〜交州牧篇〜
六十七 〜別離〜
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これも、旦那の国ではよくある習慣なのか?」
「酒を飲む時などは、このような形を取る事がままある。無論、常時がこうではないがな」
「へぇー、でも確かに合理的だね」
「では皆さん、おかけ下さい」
「うむ。二人も座るが良い」
「は、はい」
「なんか、調子狂うなぁ」
結局、私を挟むように左側に麗羽達が、右側に元皓達が席に着いた。
「さて。お前達と麗羽を引き合わせたのは他でもない。お前達のこれからの事だ」
「……やはりですか。僕は、愛里さん達とは立場が違いますからね」
「旦那。確かに元皓もおいらも、歴とした官吏。……交州には連れて行けない、そう言いたいんだろ?」
「そうだ。武官や兵は私兵扱い故に、自腹で動かす限りは何の問題もない。だが、文官はそうもいかぬ」
「基本的に、地方の文官はその地方に所属するのが原則。だから、僕達が勝手に動く訳にはいきません」
「……そうなると、おいら達は当然、次の刺史、それか太守の指示に従う事になるんだけど」
皆の視線が、麗羽に集まる。
「皆さんの仰りたい事、よくわかりますわ。お二方とも、お師様だからこそ仕えていた……そう仰りたいのでしょう?」
「……そうですね。しがない一官吏でしかなかった僕が、今こうして民の皆さんの為に働けるのも、太守様あっての事ですから」
「おいらもだな。昼行灯も悪い奴じゃなかったけど、うちの旦那みたいに働き甲斐のある上司じゃなかったからなぁ」
「昼行灯……? 何方の事ですの?」
「え? ああ、前の刺史、韓馥の事さ」
「……どういう意味ですの?」
首を傾げる麗羽。
「行灯とは、燭台の事。昼に燭台を用いても、何の役にも立たぬであろう?」
「あ、そういう意味でしたのね。……随分な言われようでしたのね、韓馥さんも」
「ま、事実だしな」
「ねぇ、嵐。その言い方、何とかならないの? いくら何でも失礼だよ?」
「んな事言ってもなぁ」
と、麗羽がフッと笑みを漏らす。
「構いませんわ。普段通りにお話し下さいな」
「ほら、元皓はいちいち細かいんだよ」
「何言ってるんだよ。嵐が気安過ぎるんだってば」
「止さぬか、二人とも。……済まんな、麗羽。こういう者達なのだ」
「いえ、本音でお話いただいた方が。わたくしも、望むところですわ」
「……そうか。斗誌、少し外すとするか」
「え? あ、はい」
慌てて、斗誌は席を立つ。
「太守様?」
「麗羽、元皓、嵐。三人で、腹蔵なく語り合うが良かろう」
「……お師様が、そう仰せならば。お二人は如何ですか?」
「僕は、構いませんが」
「……ま、おいらもいいぜ、それで」
「うむ」
それから二刻ほど。
余人を交えず、麗羽達は語り合っていた。
「大丈夫なのかなぁ、姫一人で」
「大丈夫だって。それより文ちゃん、こ
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