第七章 歌姫
第4話 異端者(イレギュラー)
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役候補の一人に耶倶矢と夕弦が上がったのだ。
二人とも容姿がいいのだが……双子ということもあり、似すぎている面もあってか、二人は劇自体を降板し、裏方に回ると言ったのだ。
元々劇に出たいという人がクラスの七割近くを占めていたので、立候補する人が少なければそれはそれでいいのだが、クラス委員は少し受け入れがたかったらしい。
それでも二人は裏方になり、そのお手伝いをしている。
その日は実行委員がスクエアに赴かなければならなく、いつもより人数不足の上、なぜか今日は用事で帰る人が多かったのだ。
そこで上条当麻を自分のクラスの実行委員に見つからないように(半強制的に)手伝わせたのだ。
上条「こんなもんか?」
耶倶矢「お、いい感じじゃん」
夕弦「拍手。お見事です」
今作っているのはお城。もちろんペラペラの紙で、舞台裏で脚立に登って城の上にいるかような演出をするのだが、上の方は耶倶矢と夕弦では少し身長が足らなかったので、こき使っていたのだ。
その城は、王様が観衆を見下げて演説するときの、(あくまで平面上の話だが)円形状にし、その上の方に突起作って、アニメに出てくるような城を作り出していた。
なかなかの出来栄えである。
夕弦「質問。少しいいですか?」
上条「ん、何だ?」
夕弦「いつもの″アクセサリー″はどうしたのですか?」
つまり、いつも連れている凜袮をどうしたのか?という質問だった。
上条は脚立の真下にいる夕弦に向かってにっこり微笑むと、「あぁ」と言って答えた。
上条「今日はお出かけだよ。ちょっと工夫してな」
夕弦「……?」
上条「詳しいことはまた話すさ」
それと同時に、
上条が夕弦の方に振り向いたせいで重心が揺らいだ脚立が真横に倒れ始めた。
上条「……え?」
そのまま、
ガシャン!という大きな音を立てて気づけば脚立は地面と平行になっており、上条は仰向けに倒れていた。
八舞姉妹はこの光景を見て、言いたいことを言っていた。
耶倶矢「これだから不幸体質な我が愚弟は困るのだ……我の心の濁りはいつになれば晴らしてくれようぞ?」
夕弦「要約。いつも通りの不幸スキルを発動させましたが大丈夫ですか?」
上条は、一言。
上条「……不幸だ」
こちらは、特に変わりなく平常運転だった。
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